足早に運び込まれた先は、とても清潔そうな病室だった。

「最近かかった病気は何?」
看護婦さんのドイツ語をシーグレットさんが通訳してくれた。
そうそう、確か数カ月前に膀胱炎になったっけ、、、、、
それを英語で何て言うんだろう??

バッグの中にあった電子辞書を受け取り、モウロウとした頭で調べ始める。
「ぼうこう・えん(膀胱炎)=膀胱の粘膜の炎症。主に・・・」
違う。
私の探しているモノとは全然違う。
そう、それは和英辞典ではなく、デジタル大辞泉。
ボタンを完全に押し間違えている。
こんな緊急時に日本語の意味を調べてどうするんだっ!!
役に立つようでこんなときワケのわからないことになる、それは電子辞書・・・。

それから、次に押したのは英和辞典だった。
見ると「boukouen」と打っていた。

そんなこんなで、調べ終ったころにはもう意識がぶっ飛びそうになっている。
そのあと、数名の男前なお医者さんが入れ替わり立ち替わり、私の目の前に現れた。
皆一様に
「ボクは、腎臓のスペシャリストです。」
と手を握りしめてくる。
いや、もう挨拶はいいから、早いとこ診察をしてくれええ~~!!!

日本では考えられない箇所へ皮下注射を二本。
そして点滴を二本とエコーをされて、結局5時間もシーグレットさんは付き添ってくれた。

医者の診断は腎臓結石だった。
これからの人生、沢山の水分をとらなければいけない。
さあ、ビールに乾杯!