「やればできる」
一見すると、前向きで良い言葉に聞こえる。
努力すれば結果が出る。
本気になれば何とかなる。
昔はみんな、もっと頑張っていた。
経営者や上司が好んで使う言葉でもある。
だが、経営の世界において、この言葉ほど無責任なものはない。
なぜなら、
「誰がやるのか」
「いつまでやるのか」
「何時間かかるのか」
「いくらコストがかかるのか」
「継続して再現できるのか」
という、肝心な部分が全部抜け落ちているからだ。
一日だけなら、できる。
社長が現場に入って号令をかけ、社員を残業させ、
管理職まで作業に投入すれば、
予定以上の仕事を終わらせることもできる。
そして翌日、社長は言う。
「ほら、やればできるやないか」
しかし、それは経営ではない。
ただの総力戦である。
毎日総力戦をやっている会社は、
いずれ人が疲れ、ミスが増え、優秀な人間から辞めていく。
本当に考えるべきなのは、
「今日できたか」
ではなく、
「明日も、来月も、社長がいなくてもできるか」
である。
一度できることと、継続してできることは違う。
一人の優秀な社員が無理をして成し遂げることと、
普通の社員が仕組みの中で安定して成果を出すことも違う。
経営者の仕事は、社員を追い込んで
一時的な成果を出させることではない。
人員を配置し、
手順を決め、
責任者を置き、
数字で進捗を確認し、
問題が起きれば改善する。
そうやって、
無理をしなくても成果が出る状態を作ることだ。
パチスロでも同じである。
一日だけ勝つなら、できることもある。
資金を突っ込み、閉店まで粘り、
最後に一撃を引けば勝てる日もある。
だが、それを「実力」と勘違いすると、
いずれ全部なくなる。
たまたま勝つことと、勝ち続けることは別物だ。
経営も同じ。
一時的な成功を見て、
「やればできる」
と精神論で片付けてはいけない。
現場が無理をして成果を出したのなら、
経営者が問うべきは、
「なぜ普段はできないのか」
「何が不足しているのか」
「どうすれば無理なく続けられるのか」
である。
人が足りないのか。
設備が悪いのか。
指示が曖昧なのか。
責任者が機能していないのか。
そもそも仕事を受け過ぎているのか。
そこを分析せず、
すべてを本人の努力不足にするのは、経営者の責任放棄だ。
「やればできる」は、
個人が自分を奮い立たせる時に使う言葉である。
経営者が社員に向かって使う言葉ではない。
社員に根性を求める前に、経営者は仕組みを作る。
気合いで乗り切る前に、数字と構造で解決する。
それができない経営者ほど、現場に入って一時的な結果を出し、
「俺がやればできる」
と満足する。
だが、経営者がいなければ回らない会社は、強い会社ではない。
経営者がいなくても回る会社を作る。
それこそが、経営者の本当の仕事なのである。
次回の回胴風雲児をお楽しみに♪