階段を上がりながら、


笑う「パソコンの仕事だけで生活してんのかよ兄ちゃん」


と丁寧な言葉で質問すると、


うんこ「もともと株してたんですが、


  株が今こんなんだから、この仕事一本ですよ」


家のローンと生活費、スーツ代、奥さん子ども、車数台。


頭の中で計算して、つい尊敬しちゃいました。



家は恐らく親名義で親と同居、


奥さんと思ってたのは妹とその子どもだと知るまでは。


そして、妄想なのか現実なのかは知らないけど、


出会い系で会った女を連れ込むのも自宅と知るまでは。



とりあえず部屋でパソコンを開き、実演。


見ててもさっぱり意味が分からない。


パソコンの操作はびっくりするほどデタラメで、


ウィンドウを20個くらい開き、重くなってる上にエラー。


うんこ「あれ?あれ?」と50回以上閉じるをカチャカチャ連打。


高橋名人だってあんたの連打にゃ負けるよ。


っつーか最初っからそんな無駄な勝負なんてしねぇけどな。


イラつくが微笑みながら待つ。


文字入力も確認しながらトロトロ打ちやがる。


こいつにできるんなら、私にもできるんじゃね?



給料は一日一時間の基本給+歩合。


月に一度の打ち合わせで、ウンコとも滅多に会わないでいい。


月に10万以上稼ぐことも難しくないらしい。


何しろ、商品がすっごい売れてお客さんにも喜んでもらってる。


インチキしてる人は多いけど、自分のはそんなのと違うと主張。


うんこ「たまに、ヘンな客もいますよ。いちいち誤字脱字を指摘してくる奴とか、中身を理解できないで文句言う奴」


あー、その被害者意識、モラの香りがするよ。


そして、商材作成の実演。


他の人が作ったものを、コピペでつなぎ語尾だけ修正。


もちろん文章はめちゃくちゃになるし、脈絡がつながらない。


うんこ「著作権なんて、こーやってこーやって…」


さらに、アクセスを上げるためのソフトで登録&自動書き込み。


こーやって、くだらんブログが上位に表示されるんだなぁ。


笑う「メールはスパムにはならないんですか?」


それは違法ではないらしい。


ヤフーから苦情の電話が来るけど、強くは言ってこないらしい。


こいつの口癖は、


絶対にウソじゃないです!本当です!!


それって、ウソですって言ってるようなもんだけど気づいてない。



金と狂ったウンコを天秤にかけ、


笑う「ソフトを使えるか自信がないので考えさせて欲しい」


ととぼけて言うと、多分大丈夫だから使ってみろとCDを渡された。



実は、内職詐欺にあいました。


パソコンの内職は怪しいものが多いけど、


職安通すならまあ大丈夫なのかな?という安易な考えで。


すでに面接から 怪しさMAX。


民家の1階で10分以上待たされた末やってきたのは30代の男。


家も立派だけど、いいスーツ着てるやんけ兄ちゃん。


彼は面接の最中、目を合わせない。


汗びっしょりかいて、履歴書を持つ手も震えている。


そして震える声で、履歴書チェック。


見るからにニートか病気か、対人恐怖症か。


笑う「おじいちゃん、

    お薬の時間ですよ?」


という言葉を飲み込む私。



仕事内容は、ライターの他にブログなんかを使って商材の宣伝。


自分のブログは見られたくないので教えなかった。



うんこ「情報やニュースに詳しいほうがいいんですけど、


  そ・・・そういうのとかに詳しいですか?」


笑う「以前は時事問題のブログも作っていました」


あんたにゃ見せらんねぇようなどぎつい内容だったけどな。


うんこ「じじもんだいですか…」


笑う「・・・」


もしかして気に入らなかったのかな、と思っていると、


相変わらず目をそらしながら再び真顔+小声で


あごからも汗を滴らせながら、


うんこ「じじぃ問題ですか…」


言葉が分からないのか聞こえなかったのか迷い、


笑う「その時々のニュースで自分なりに感じたことを書いていました」


と優しく翻訳してやる。


うんこ「じじいおじいちゃんの問題・・・ですか・・・?」






はっはーん、

貴様なりの寒いギャグかよ?




真顔で何度も言うから聞こえてないのかと思っちまったよ。



当然笑いのツボには 1ミリもかすらない。

 

でも社交辞令で大袈裟に笑ってやった。


「ここはオヤジの墓場スナックかよ?ああ~?」 なんて言わない。


そんなこんなで、具体的に仕事を見てもらいましょうか、


と2階の奴の仕事部屋へ。


DV1号は、昔ケータイ屋さんでバイトしてました。


友達がマネージャーだか店長だかえらい人で、


そのツテでバイトをしてたんだけど。


ケータイ屋さんのバイトは最初の結婚前の話です。



離婚した時、私はケータイを解約。


何ヶ月かして、新しい番号で別のを契約しました。



シェルターに入ってからも、住民票を移さずに一年。


そこを出て自分たちの家に引越し、


一年後にシェルターに住民票を移し、さらにもう一年。


3年経ってやっと住民票を自分の家に置いたんだけど。


その頃から無言電話が激しくかかってくるようになりました。


家の電話にもかかってくるけど、これはただのイタズラ。


ケータイの非通知は、不規則なものもあったけど、


だいたい同じ曜日、似たような時間にかかってきました。


腹が立つからこっちも無言。どっちが先に切るかの勝負爆弾


だいたい5分~10分くらいお互い無言。


一度だけふっ、と吹き出す笑い声が聞こえ、


1号だと確信しました。


きっと、番号調べたんだと思う。


笑う「1号やろ?」と私から言ってもらうことを期待している。


あくまでもきっかけを私に作らせようとしている。


1号のことは当時も大好きだったけど、


変わっていないんだとがっかりして、


非通知を拒否。


そのうち、時々番号通知してかけてくるようになりました。


当時(イヤイヤながらも)付き合っていた2号に交代しても


懲りずにまたかけてくる。


夜中家のチャイムが鳴らされたり、


似た人がいたら血圧が300くらいあがって体が震えたり。


1号の仕業ではないかもしれないことまで怖くなりました。



妹にその話をすると。


当時妹のケータイにもよく電話がかかってきていたそうです。


アナウンサー「なんで1号さんが番号知ってたのか不思議」


それ、早く言えよ!


当時私と妹は年に一度も連絡を取り合わない関係でした。


かなり遠くに住んでたし、私は妹の住所すら知らなかった。


1号と妹は1度しか会ったことがなく、それも挨拶程度。


でも妹にはちゃんと名乗って家族の近況など聞いたり、


情報を引き出そうとしていたそう。



私のケータイへの着信は、次女が生まれて


赤ちゃんの泣き声を聞かせた途端ぴたりと納まりました。



今頃になってこんな昔のことを書いたのは、


最近もう一台のケータイにも非通知がかかってくるから。


ソフトバンクなので夜中のワン切りは時々あるんだけど、


昼間長~い着信も来るんです。


ソフトバンクの番号知ってるのは二人だけ。


その人たちが非通知でかけてくるようなことはないし、


パケ代がもったいないからソフトバンク以外のメールもしない。


架空請求とか、勧誘とかそっち系だと思うけど。


なんか落ち着かない。