長岡の“奇跡”長谷川の営業に同行した。




車の運転は私。




何件か訪問した頃、トイレに行きたくなったので、ロードサイドのホームセンターに入った。




トイレの近くにレジがあり、レジの近くに「毛玉とりブラシ」が売られていた。


私は『あっ、毛玉とりブラシ、売ってるやん!』と声を上げた。




お気に入りのフリースに毛玉がついたので、欲しいと思ってたのだ。




でも先にトイレを…と、長谷川と便器の前に並びながら、「毛玉とりブラシって便利だよなー」なんて話をしていた。




で、トイレを出て、毛玉とりブラシを買って、車に戻ろうと駐車場を歩いていると、




長谷川の質問が、私の背中に突き刺さった。






『あのー、毛玉とりブラシで、佐藤さんは、何をされるんでしょうか?』





・・・・・・。






『うんうん…、いろいろ使い方はあるけど、俺の場合はやっぱりそうやなー、お好み焼きの生地をかき混ぜたりなー、眠いときには歯を磨いたりなー・・・・・なんでやねん!』

という、ノリツッコミをする元気もでなかったので、



『毛玉をとるねん!』

と一言だけ返して車に乗りこんだ。




上司との会話を膨らまそうとして、ことごとく失敗する長谷川。




私にとって、同行の一日は、修行の一日になった。