私の会社では、退職することを「卒業」と呼ぶことが多い。
この金曜日に開催された送別会で送られた2人のうち1人は卒業だった。
3年半とい有期の雇用制度を勤めきり、任期満了での退社だ。
この3年半の有期雇用は組織を預かる管理職にとっては本当にせつない。
せっかく経験や知識を身につけたメンバーを、自社以外の世の中に出してしまうのだから。
一緒に同じ目標に向かって、がむしゃらに走った後輩が社外に出てしまうのは、家族が進学や結婚で遠くへ引っ越してしまったように寂しくもある。
一方で、
やりたいことが分からない。
やりたいことに向かってすべき事がわからない。
といった若者には最高の制度だ。
今回の卒業生も、もやもやしながら入社してきて、今、胸をはって卒業していく。
彼は送別会でこんなことを言っていた。
「人には、いつもやるべきことをやり続けられる人と、やるべきだと分かっていてもやり切れない人がいて、私の場合は、やり切れないことが結構あってダメでした・・・」
他にもいろいろ印象に残ることを言っていたが、私にはこの言葉が一番印象的だった。
非常に正直で、分かりやすいと思った。
最初に頭に浮かんだ感想は・・・
「そういえば、俺もやり切れない事が多いなあ・・・」だった。
仕事をいつもやり切るのは非常に難しい。
いろいろな理由をつけて、私はやりきれていない。
でも、人前で「俺はやり切れてませんでした」なんて言えないなあと思った。
いつも、常にやりきることができる人はいるのだろうか?
きっといないと思う。
また、そのやり切れないということを、自分の弱さであると認められる人間がどれほどいるだろうか?
彼は、3年半の中で、自分の弱さを知り、その弱さを後輩たちに伝えアドバイスを贈る「勇気」を手に入れた。
この「勇気」は、己と向き合う勇気であり、未来を切り開く勇気だと思う。
絶対にうまくいく。
絶対に成功する。
きっと失敗も多いけど、最後に絶対笑う!
彼の未来の幸せを確信し、夜明けのラーメン店を後にした。