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翔くんを抱きしめて…体を擦り続けた…




そしたら…いつの間にか翔くんは眠っていた。







僕の言い方が間違ったのかもしれない…




話せないから翔くんの気持ちがわからない。




きっと翔くんは…

学校を辞めるつもりなんか

さらさらないんだと思う。




だって…夢だった教師…




努力してやっと叶えたんだから…




その気持ちは…よくわかる。







僕だって保育士になって…実際に働いてみて…

想像と違うことがでてきて…




それならやりたいこをって…

別の資格を取ったり…




まわりの助けを得て託児所を立ち上げたり…




それに…今はまた違う仕事をしている…。







働くことで違う世界が見えてきたり…

色んな人に出会って刺激をもらったり…




そうやって僕は…今がある。







だから翔くんにも《教師》

という枠に囚われる必要はないって思う。




でも…それがきっと翔くんには伝わっていない。






僕の言葉選びが悪かったんだと…




ストレートに言いすぎたんだって…




今さら後悔していた…。








人に伝えるって…本当に難しい。




毎日一緒にいる人なのに…それなのに…







「翔くん…ごめんね。」




ピクッ…




ドキッ!




「………っ…し…」




「…翔くん?」




顔を覗き込むと…目を開けていた…






「…翔くん…起きたの?」




「……っ…、」




「翔くんっ、…無理に喋らないで…!」




すると…翔くんが僕の手首を掴んだ。




そして…手のひらに指で文字を書き出した…






「……あ…」




「……い…」




「……し…」




「……て…」




「……る……翔くん…」




翔くんが手に《あいしてる》と書いた…。




そして…その手のひらに…チュッとキスをした。






「…翔くんっ!」




僕は翔くんに抱きついた…




翔くんはきっと…

いっぱい話したいことがあるはず。




今考えていること…

僕に言われて反論したい気持ち…




それに……

夢だった教師の仕事に対する思いなんかも…




言葉にできなくて…

きっと苦しいはずなのに……







「……っ…し…」




「…え?」




「……く…っ…し……いっ…」




「…苦しい?翔くん…苦しい?」




コクン…




ほら…やっぱり…




苦しんでいる人を…

僕がますます苦しめている…






「ごめんっ…翔くんっ!」




翔くんに抱きつくと…






「…っ…!」




…え?




「…ん…しょ…」




「…翔くん?」









翔くんが…




せっせと僕の服を脱がせた…。