「…やっぱり…

素晴らしい舞いだったから…納得」




…こいつ…師範の孫じゃねぇのかよ…




…なんもわかってないし…笑




「…どこから来たんでしょうか」




「…東京じゃね?」




「えっ…東京からわざわざ…」




「…聞くところによると、

これって一部の人間しかしないから、

極秘とか…」




「えっ…それどういう…」




「いや、ほら…島の神事なのに…

雇ってるとか他に漏れたら…」




「あ!」




櫻井さんが慌てて口を押さえた。




「俺も…知り合いに役場の人間がいるから

チラッと聞いた話だから…絶対に内緒ね!」




「はい!わかりました!」




「だから…会えないんじゃないかなぁ…

残念だけど」




「…なるほど…」




…これで…探すことを諦めるな…。





「そしたら、来年!また来ます!」




「えっ…」




「1年後…長いですけど…また会いたいから…」




ドキッ…




なんで…そこまでして…





「教えてくれてありがとうございます!」




ズキッ…



 

櫻井さんの笑顔を見たら…胸が痛んだ…




騙してるみたいで…可哀想…かも…





「じゃ…俺もカミングアウトしたから

大野さんも話しませんか?」




「なにを?」




「好きな人…もしくは…恋人?

…いるんですよね?」




「えっ…」




「…?」




「…なんで?」




「えっ…だって……大野さん…

仕事でこっちに移り住んで…

恋人と遠距離なんじゃないんですか?」




「はぁ?」




「え!違うんですか!?」




「なんでそんなことに?」



 

「あれ、俺の想像…間違ってました?」




「…意味がわかんねぇ…」




「だって…酔うとキスしたくなるとか…

…涙腺が……それって遠距離の恋人を

思い出して…それで……違いましたか?」






「…んはっ!…なんだその妄想!」




「え?」




「…そんなヤツいないし、

俺は2度と恋なんかしないって決めてるから…」


  


「えっ…どうして…」




「……恋だの愛だの言う年齢でもないし…

一人が気楽でいいからね…んふふ」






「大野さん…」




「…櫻井さんは…惚れやすくて

軽い感じがするけどな!」




「えっ…なんで!」




「…だって…踊ってる人に惚れたんだろ?笑」




「っ!違います!

惚れたとかそんなんじゃないです!」




「いや…そう言ってたじゃん!」




「違います!写真を撮りたい!

それだけです!」




「…変態カメラマンか!」




「っ!ヒドイ!」




「んふふっ…どうせ脱がせるんだろ?」




「っ!ちょっと!」




櫻井さんが俺の目の前に来て…腕を掴んだ…




あ…怒ってる…




眉毛つり上がってるし…






「…今のは撤回してください!」




「…なにが?」




「っ、!だからっ!」






「バカじゃねぇの?

…なにが写真を撮りたいだ…

そんな言葉で落とせるとでも?」




「っ!だから違うって!」