回り続けるアンテナ(モンゴルの郊外ガチョールトで2004年6月22日の原稿)
朝起きてゲルのドアを開けて外に出ると、前隣のドグローさんは大概ゲルの北側の日陰に寝そべって何をするともなく、ぼんやり草原を眺めていることが多い。
それが、今朝はずっと姿が見えない。どうしたのかと尋ねると町(ウランバートル)行ったという。
夕方、ドグローさんは馬に二つの白い箱を振り分け荷物に積んで戻ってきた。
大きい箱は14インチのカラーテレビで、もう一つの薄い方の箱はスーパービデオCDプレイヤーだった。
スーパービデオCDはSONYのマークが付いているが、たぶん本物ではないだろう。
ウランバートルの小さな雑貨屋でSONYのマークの入ったニッカド電池を買って使っているが、外観は実に良くできているけれど、充電しても短時間でなくなってしまうので、にせ商品であるのは間違いない。
ドグローさんの備えているシステムは、
発電機: YAMAHA ETー900 出力AC220V、DC12Vのバッテリ充電用出力
バッテリ充電器: ロシア製でAC220V入力でDC12vのバッテリを充電する。
今回買ってきたテレビのアンテナは、長さ60センチくらいの小型のもので、ブースターとモータが組み込まれており、テレビの近くにあるワイヤー付きのリモコンでアンテナのモータを動かし、映りの良い状態でオフスイッチを押すとアンテナの向きが固定されるというものだ。
ところが、オフのスイッチを押してもモーターが止まらなくなり、ぐるぐると回転し続けるという故障が起きた。
ウランバートルの方向に向けておけば間違いなくきれいに映るのだから、モーターを回らなくしてしまえということで、二人の息子がモーターの回転部分をひもでぐるぐる巻きにした。
ところが、小型モーターの力は意外に強く、息子たちの力技では回転を止めることができなかった。
そこで、相談を受けた私の提案でモーターの配線を切ることであっけなく問題は解決した。
自慢するほどではないが、元電子工学エンジニアとしての知識がモンゴルの草原でお役に立てた。