アルヒ(モンゴル・ウォッカ)にまつわる思い出(1)

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No.24 ガチョールトの酒盛り
モンゴル通信「崑崙の高嶺の此方より」
By T. Sato
Letters from Mongolia **************************
サインバイツガーノ(皆さんこんにちは)、佐藤武久です。
先週の土曜日(12日)はガチョールトのゲルに米澤さん夫妻を招待して昼食をしました。良く晴れていましたが風が冷たかったので山登りは断念して、3時過ぎに米澤さんたちはウランバートルにタクシーで帰りました。
夕方、バトフさんのワゴン車に乗って、客人のボルドバータルさん、その娘のアンハさんと連れだってわき水を汲みに行きました。
その頃には空はすっかり冬空に変わっていて、水を汲む手許にも小雪がちらつき、遠くの山は雪で白く霞んでいました。
夕食が終わってさあ寝ようかという頃になって地主(というか大家さんと言うべきか)のドグロースレンさんから家に来るように使いがありました。多分9時頃だったと思います。隣のゲルのバトフさんの家族と客人のボルドバータルさんの家族はすでに眠りについていたようで、私の家族だけが出かけて行きました。
ドグロースレンさんの木造平家の家の前にはロシア製のワゴン車のライトの明かりの中で牛の解体作業が行われていました。羊の解体はこれまで何度も見ましたが、牛の解体を見るのは初めてです。胃袋が運動会の大玉くらいもあるので三人がかりで作業をしていました。買い主はドグロースレンさんの知り合いで、もとベトナム大使館に勤務していたという紳士で、きちんとしたスーツにオーバーを来て小雪がちらつく中で作業を眺めていました。冬に食べる肉を仕入れに来ているのだそうです。挨拶をしてしばらく片言のモンゴル語で話をしましたが、私に寒いから家の中に入るよう促します。
家の中では入口の近くのストーブで、解体した羊の肉を娘達が茹でています。奥の居間に入るとドグロースレンさんが座っていて小さな腰掛けに座るよう勧められました。
この部屋はヤマハの発電機で20W位の裸電球を灯しており、私のゲルのようなろうそくに比べるとはるかに明るく感じられます。テレビも見ることができます。
しばらくすると肉の買い主の紳士も部屋に入ってきて酒盛りがはじまりました。10人くらいがこの部屋に集まったのですが、青年達は別のグループに別れてトランプをはじめました。私が亭主役にさせられ、右手の薬指でアルヒを弾き飛ばして天地に感謝する儀礼の後、例のごとく時計周りの回し飲みをしました。ベレー帽を冠った運転手は今日はここに泊めてもらうのですっかり良い機嫌になっています。私をウランバートルの街で三回くらい見たと酔っ払いの常で何度も同じことを繰り返します。
我々に歌を唄ってくれというのでモンゴル語で(といってもこれしかしらないのですが)アヤニーショウォード(渡り鳥)という歌を唄いました。一曲終わると次は日本の歌を所望されます。
そのうち茹であがったばかりの湯気の上がった羊の肉が心臓やら肝臓やらいろんな臓器といっしょに洗面器のような容器に盛られて出てきました。手で持てないくらい熱い肉を各人ナイフで切り取っています。わたしがレバーの部分を切り取るとそれではなくこっちを食べろと運転手が骨付きの肉を勧めます。右手にナイフを持っているので左手でそれを受け取ろうとすると「ビシ、ビシ(だめ、だめ)」といって渡してくれません。一度ナイフを下に置いて右手で受け取るのが作法だと教わりました。
ハラーというアルヒを一本空にし、やれやれと思っているとドグロースレンさんがどこに隠しもっていたのかチンギスハーンの1リットル瓶を持ってきてこれで続けろと言います。私はアルヒは嫌いではないのですが下戸にはつらいかもしれません。といっても、無理強いされることもないのでマイペースを守ってさえおれば酔いつぶれることもありません。モンゴルで一度だけ酔いつぶれた(タサルスン)ことがあると言うと、それは悪いアルヒを飲んだからでこのアルヒなら大丈夫だとのことです。くだんの紳士もワイシャツの前がはだけて良く肥えたお腹が出ていました。
結局、「サイハンアマラーライ(お休みなさい)」と挨拶して自分のゲルで眠りに付いたのは11時近くでした。
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ザ-ザー(さてさて)、そんなわけで今回はホームページに第43回 ギルモア著「モンゴル人の友となりて」(モンゴルの食事)をアップロード致しました。120年前のモンゴルの食事にまつわる話題を取り上げていますので対比して御覧いただくと面白いと思います。原文の「竹箆返し(しっぺがえし)」のような難しい漢字を使っている箇所だけをひらがなに改め、ほぼそのままの載せております。
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佐藤 武久 (2002.10.17記)
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