こんにちは。さとです。
 
世界観ブログ17日目の今日は、私に大きな影響を与えた人物との出会いについて書きます。
 
 
小学5年生は、前回も書いた通り非常に不遇の時代だった。↓↓↓
中学受験は小学校受験と違って、勉強も難しいし高校大学受験と同じく本人の努力と意思が必要不可欠だ。
付け焼き刃では通用しない。
自分はこの学校に受かりたい、という明確な目標がなければ続かないのだ。
 
しかし、私には明白にそれが足りていなかった。
 
そもそも受験をする理由が見つけられなかった。
他の子も、まだ志望校はなかったと思うが東大に行きたいとか兄弟が通っていて後を追いたいとか、それぞれ理由があった。
私はモチベーションが上がらないまま、とにかく順位を落としてはいけないというプレッシャーのもと日々の課題をこなしていた。
 
そんなある日、塾に新しい先生が入ってきた。
田才先生という若い女性の先生だった。
すごく目がぱっちりしていて、可愛らしい人だった。
田才先生はすぐに子供たちの人気者になった。
 
彼女は可愛らしい見た目に反して、ものすごく切れ味があった。
男の子たちはまだまだうんこちんこで一生笑っていられるお年頃である。
当然塾でもそんなことばかり言っている。
その様子を見て田才先生は、
 
「まぁ、お下劣だわ。」
 
と一言言い放った。
おげれつ?!それは本当に衝撃的なワードだった笑
男子たちはそう言われてめちゃくちゃ喜んでいた。(そういうのはいつの世も変わらないようである)
そんな感じで田才先生の放つ言葉はいつもキレキレで、時に胸をえぐることもあったがみんな彼女が大好きだった。
 
そんなある日、塾で友達が手作りのクッキーをくれた。
最近お菓子作りにはまっているということで、その練習で作ったものをくれたのだった。
私は純粋に嬉しかった。
その頃学校では友達と疎遠になってしまっていたので、塾の友達はありがたい存在だった。
喜んでその場で一口食べてみた。しかし…
 
 
…あんまり美味しくない。
まずくはないけど、なんだか白くてホロホロしてて味がよく分からない。
すあまを食べた時のような、何とも形容しがたい味わいだった。
田才先生もその場にいて、友達からクッキーをもらっていた。
 
「あら、上手なのね。おいしいわ。」
 
田才先生はそう言った。
友達はとても嬉しそうだった。
そして、私にも「どう?」と聞いてきた。
私は、
 
「うん、とってもおいしいよ!
今まで食べたクッキーの中で一番おいしい!!」
 
と答えた。
すると、
 
「今まで食べた中で一番、というのは大げさなんじゃない?」
 
と田才先生の鋭いツッコミが入った。
 
 
 
 
 
 
え!!!!
 
私は冷や汗をかいた。
確かにおっしゃる通り、今まで食べた中で一番では全くない。
むしろ下から数えた方が早いくらいである。
でも友達の手前気を遣って、遣いすぎて、そんな調子のいい言葉をポロリと言ってしまったのである。
当の友達もそれを察したようで、ちょっと冷めた顔をしていた。
田才先生にそう言われたのもショックだったのかもしれないけど、私の何かに怯えたような、へこへこと気を遣う感じに違和感を感じたのだと思う。
 
 
私は自分が情けなかった。
いつもどこでも堂々といられない自分が嫌だった。
田才先生は思ったことをそのまま言っても好かれているのに、私は思ってもないことを言って嫌われる。
学校では嫉妬のあまり暴走して、塾では数少ない友達を失うまいと必死になって。
バカじゃないの。
 
田才先生に言われた一言はきつかったが、内心私はホッとしていた。
私のことを見抜いてくれる人がいる。
そしてそれを良い悪いとジャッジせず、ただ思ったことを言ってくれる。
そういう関わり方をしてくれる人は本当にいなかった。
 
私は彼女を心から尊敬していた。
 
 
 
 
その頃から、様々な学校で学校説明会が行われ、私も志望校を探しだした。
その中に、田才先生が通っていたという中高一貫校があった。
女子校で、とても制服が可愛い、おまけに大学まで付いている学校だ。
私はただ田才先生のようになりたいという理由で、その学校を第一志望にすることにした。