日米国会議員会議を終えて | 佐藤ゆかりオフィシャルブログ|大阪(枚方・交野)代表 衆議院議員 自由民主党 Powered by Ameba

日米国会議員会議を終えて

 いつもご購読いただきありがとうございます。このたび佐藤ゆかりは5月3日から実質4日間米国出張に出かけ、8日に戻りました。その出張について報告させていただきます。

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◇ワシントン~NY出張の概要
 このたび5月4日~5日開催予定の第45回日米国会議員会議に出席のため、ワシントンD.C.に向かい、最終日はニューヨークで米系大手機関投資家らと会合、日本経済の復興や財政状況について投資家の期待や懸念についてヒアリングを行いました。私は参議院財政金融委員会の理事として、海外大手投資家の見解をただし、グローバル金融市場に対する適切なメッセージを日本の行政や政治が発信できるようつなげることが大切と考えています。

◇東日本大震災の救援活動に謝意
 東日本大震災発災後、初動期間に迅速な救援を頂いた各国への謝意と同時に、米国には長期化する捜索活動や福島第一原発への対応など、引き続き忍耐強い支援を頂いています。日米国会議員会議ではまず冒頭、会議の共同議長であるジム・マックダーモット下院議員はじめ米出席議員一同に対して、私は日本国民を代表し、暖かく忍耐強い支援への御礼の言葉を伝えました。
 また、地震・津波による原発事故発生の問題は、西海岸などの地震発生地域をもつ米国でも高い政治的関心があることが分かりました。会議では冷却機能の課題や非常用発電機の設置個所など技術的問題から風評被害に至るまで、日本の現状をつぶさに説明しました。実際、想定の高さ以上の津波が発生した場合の原発への影響は、米国議員にも懸念材料として強い認識があり、日米議員間で大いに議論が盛り上がりました。

◇「アジアの原発街道」沿いの安全保障問題
 なかでも、米下院の重鎮で共同議長のマックダーモット議員とは、コーヒーブレイクの時間も二人で引き続き、東アジアの原発拡大の動きにつき意見交換をしました。
最近では中国、韓国をはじめアジアの各国で原発推進の動きが活発化しています。マックダーモット議員が中国の原発に触れたのを機に、私が日本、中国、韓国を「アジアの原発街道」と呼び、核兵器の開発に至らずも、原発街道のテロ攻撃だけでも北東アジアに大参事が勃発しえる可能性を指摘すると、マックダーモット議員も深い驚きの表情で応じました。福島第一原発事故が世界の安全保障上の緊急課題をも提起することを、マックダーモット議員を通じてより多くの米国会議員の共通認識となれば、私には今回の会議出席に十分な意義があったと思います。

◇米国の財政健全化論争
 一方、来年大統領選挙を迎える米国では、オバマ大統領がすでに再選をめざす意向を表明する一方、共和党の候補者擁立は遅れており、主な争点の構築はこれからです。しかし、リーマンショック以来活動が顕著なTea Partyの主張にあるように、大統領選では財政健全化がひとつの大きな争点になるでしょう。
 そこで会議の合間の昼食会で、Tea Party所属のユタ州選出マイク・リー上院議員の講演を聞きました。端的には、財政規律以外の主な争点はTea Partyに見られず、共和党の中の「財政極右派」という印象です。実際、会議に出席した共和党のトム・ペトリ議員などは、米国債の50%以上が中国、日本を始め外国に保有されている現状で、連邦債務の増大に対する危機感や国の将来に対する責任感を取り上げ、財政健全化を主張していました。こうした議論に対して、マックダーモット議員はじめ民主党の議員は、メディケア、メディケイドといった医療費を中心に社会保障にかかわる義務的経費の支出を優先すべきとの立場です。財政健全化論争は、リーマンショック以降大型財政に舵を切った米国でも、日本同様、今後さらに激化する共通テーマとなりそうです。

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◇立ち位置の見えない外交・防衛
 外交防衛ではリビアの内戦に関する米国の立ち位置の不透明さに加えて、オサマ・ビンラディン殺害の際に米政府からパキスタン政府に事前通告がなく米パ関係の不透明さが指摘されるなど、アジア・中東情勢にも新たな局面入りが示唆されます。米国の役割に関するこうした視界不良の状況は、米出席議員の発言にも表れていました。民主化運動で親米政権が崩壊したエジプトを始め、新勢力の構図が定まらない中東・中央アジア情勢のなかで、北東アジアにおける日本の米軍基地は、フィリピンの基地に並んで米国がその重要性を認識している模様です。普天間基地の固定化も、鳩山政権以来の迷走の結果、不可避な状況となりました。時代観、世界観のなかで、地理的にもアジア太平洋地域のまさに狭間にある日本が、より大きな視野で国防や日米同盟のあり方を考える必要性が到来しています。

◇米高速鉄道計画に曇り
 5日夜ワシントンの日本大使公邸で藤崎駐米大使主催の夕食会に出席、米国の高速鉄道敷設計画における日本政府の売り込み状況などについて伺いました。すでに米国では、前述のような財政健全化への懸念の広がりから、フロリダ州で高速鉄道計画の中止が発表されているのが現状です。
 日本の国会では4月下旬に国際協力銀行(JBIC)法案を可決し、日本政策金融公庫からのJBICの独立と同時に先進諸国向け大型案件の融資を可能とする法改正を行いました。日本の新幹線や原発などの大型インフラの輸出拡大を重点政策のひとつに掲げてきたためです。しかし大震災の発災以来、原発輸出の雲行きも不透明となり、米国の高速鉄道にも財政上の影響が現れかねない状況です。日本経済の牽引役と期待される大型インフラ輸出をなお一層の高い技術力で売り込むための、戦略上のファインチューニングが必須です。

◇NY大手機関投資家とのヒアリング
 6日、朝のシャトル便でニューヨークに移動、米系大手機関投資家、金融機関、ヘッジファンド、証券市場関係者らと面会しました。東日本大震災を受けた日本の今後の復興政策について、米国の主要投資家が何を復興に期待し、その実現可能性や制約についてどう分析しているのか、ヒアリングを通じて今後の日本の政治からのメッセージの発信に役立てるのが狙いです。
 私自身が長年ニューヨークに住み、帰国後も米系投資銀行で経済分析や提言を続け、2005年の衆議院選直前まで日本担当チーフエコノミストとして米欧アジアの主要機関投資家と緊密なかかわりのあった実績から、今回は急な面会の依頼に対して、各社快く応じてくれました。
 ヒアリングした米系主要投資家らが示した日本市場への期待は、温度差はあるものの大概が前向きなものでした。日本株式のバリュエーションが極めて割安であるなどの技術的な理由に加えて、日本が立ち直る潜在力の強さに海外投資家の期待があるようです。果たして期待通りに日本は復興の道を辿れるのでしょうか。

◇「新たな過疎地を創らない」復興政策
 私は、日本の復興政策について、「新たな過疎地を創らない」というポリシーが不可欠だと話しています。それは人で賑わう集約された、コンパクトな街づくりに始まり、農水産業の大規模化による効率化や先端産業の再構築に至るまで、居住地域と大規模一次産業、先端産業とが棲み分ける地域集約型の復興政策です。特に産業政策では、世界の次世代産業を「東北」がその先端で推進するだけの先見性をもって有意義な産業立地を行わなければ、国内外の期待に応じることも、巨額の補正予算編成の正当化もできないでしょう。
 この意味で、今後編成する第2次補正予算の具体的な支出内容の決定は並大抵の作業ではありません。政治と行政、民間の英知を結集して、日本にとり最後の浮揚のチャンスともなる意義深い予算にすることが政治の命題です。私も精一杯貢献してまいります。

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◇日米国会議員会議とは
 今回私は2回目の出席となった日米国会議員会議は、日本の自民党、民主党、米国の共和党、民主党所属の各国会議員による超党派の会議として、毎年5月にワシントンD.C.のキャピトルヒルで行われ、毎年秋には日本または韓国で同会議が開催されています。内政問題から経済、外交防衛など、各国に関連の深いテーマごとに出席議員が自由に討議を行います。通訳なしに直接英語で議論するため、さまざまな事案に関わる機微が伝わりやすく、議員同士の信頼関係にもつながるのが特長です。今回は選挙で急遽欠席となりましたが、通常、会議2日目は日米韓国会議員会議として韓国議員団も加わります。
 最後に、日本では国会の正式な委員会派遣は国会行事として税金でまかなわれますが、それ以外の海外出張は基本的に任意負担です。日米国会議員会議も国際経済交流財団から旅費が支出され、今回のニューヨークへの移動や現地宿泊、ヒアリング費用などは私の任意の企画として全て自己負担であることを補足いたします。


                                           (了)
                                   参議院議員 佐藤ゆかり