1992年に新宿歌舞伎町で見た『女殺し油地獄』が、いまさら浄瑠璃・歌舞伎作品と気づく。
どうも古風なタイトルだなあ、と思ったんですよね。
享保6年(1721年)に人形浄瑠璃で初演された時には、あまり人気が出なかったとか。
樋口可奈子さん、綺麗だったなあ。
藤谷美和子さんも色気がすごかった。
『女殺し油地獄(おんなころしあぶらのじごく)』は、近松門左衛門が実際に起きた事件を題材に描いた世話物の浄瑠璃・歌舞伎狂言です。
あらすじは以下の通りです。
1. 放蕩息子・与兵衛
大坂・河内屋の次男坊である与兵衛は、親の金を持ち出し、喧嘩や放蕩を繰り返す札付きの不良息子です。借金に困り果てた彼は、継父や実母に金をせびりますが、ついに勘当されてしまいます。
2. 凶行の決意
借金の返済期限が迫った与兵衛は、近所の油屋「豊島屋(てしまや)」の女房・お吉を頼ります。お吉は与兵衛の身を案じ、姉のように接してきましたが、与兵衛の無理な借金の頼みは断らざるを得ませんでした。
追い詰められた与兵衛は、お吉を殺して金を奪うことを決意します。
3. 油地獄
与兵衛は豊島屋の店先に忍び込み、お吉を襲います。床にこぼれ出た大量の油に足を取られ、二人は滑りながらもがき回ります。お吉は必死に逃げ惑いますが、ついに与兵衛に惨殺され、金が奪われます。この「油まみれで滑りながらの殺害シーン」は、本作最大の見どころです。
4. 結末
その後、お吉の三十三回忌の法要が行われている最中に、不審な動きをしていた与兵衛の罪が露呈します。彼は捕らえられ、物語は幕を閉じます。
1992年に公開された映画『女殺油地獄』は、監督・五社英雄の遺作として知られる愛憎劇です。樋口可南子、堤真一、藤谷美和子らが出演し、原作の人形浄瑠璃を大胆に改変した妖艶な世界観が特徴です。
1992年版映画の主な特徴
五社英雄監督の遺作: 撮影中から体調を崩していた五社監督が、がん闘病の中で完成させた執念の一作です。
大胆な原作改変: 放蕩息子・与兵衛と、彼をいさめようとする元乳母・お吉の間に流れる「女の情念」や「愛憎」に焦点が当てられています。
高い評価: 藤谷美和子が日本アカデミー賞やブルーリボン賞の助演女優賞を受賞しました。