こんにちは、鍼灸師の前田です。
今日は漢方医学の世界における、病気の原因について書かせて頂きます。
漢方では病気の原因は先天の気と、後天の気という2つとされています。
先天の気とは、生まれ持った遺伝的な体質のことで、アレルギー体質などの遺伝的なものが該当します。
対して後天の気とは、生まれてからの要因のことで、これは内因・外因・不内外因の3つに分けられます。
ではこの内因・外因・不内外因について、それぞれについて説明してみましょう。
-外因-
古くから気候の変化を指します。
特に風・寒・暑・湿(湿気)・燥(乾燥)・火(激しい熱)の6つの気候の変化を六淫(りくいん)と呼び、これらの気候の変化にからだが対応できない時に、病気が引き起こされます。
また、近年ではこういった気候だけでなく、生活環境が一因になっている病気も増加しています。
たとえば、夏にもかかわらず冷房により冷え性に悩んだり、大気汚染によるぜんそくや呼吸器疾患など、こういった生活環境なども外因の一つと考えられています。
-内因-
古くから感情の変化を指します。
特に喜・努・思・憂・非・恐・驚の7つの感情が過度になることによって、病気が引き起こされ、これらを合わせて七情(しちじょう)と呼びます。
たとえば過度の憂鬱は肺と脾を傷つけると言われていますが、
実際に私が診させて頂いている患者様のうち、うつ病に悩む方の多くは肺虚または脾虚が見られます。
さらにPMSをもつ多くの患者様では、その症状の度合いと脾・肺の虚証、さらに憂鬱な精神状態などがピッタリとリンクしているように感じます。
過度な感情は病気を生み、病気は過度な感情を生むのです。
-不内外因-
こちらは先にあげた外因にも内因にも該当しないものを指します。
不摂生な食事、過労、房事過多(セックスのし過ぎ)のほか、打撲や傷などの外傷も含まれます。
痛風、アルコール性肝炎、貧血などの生活習慣病は、日頃の食生活が作る病気という意味では、不内外因によるものでしょう。
食の西洋化にともなって、生活習慣病が多くなったことから分かるように、不内外因も立派な原因のひとつになるとともに、食事や過労など現代人には特に馴染み深いものになってしまっているものの一つです。
…先天の気、後天の気、さらにはその中の内因・外因・不内外因…。
これらのものが複雑に交じり合い、さらに影響しあって病気は引き起こされます。
西洋文化の色濃い、現代の医学では「内因」という概念の受け入れがまだまだできていないように感じます。
鍼灸師という目線から、是非こういった概念をこれからの医学にどんどん吸収してもらえれば…と思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
感情というのは、非常に大事な病気の原因になります。
読んでいただいた皆様も、体力的な意味だけではなく、感情的な意味でも無理をし過ぎないようにしてお気をつけ下さい。
さとう鍼灸整骨院 前田亮太