私は一人っ子だったので、兄弟の感覚を知りません。
いとこと近い感じではあったけれど、毎日のように顔を合わせていたわけではない。
やはり、兄弟とは少し違いますよね。
 
さて、我が家には兄と妹がいます。
おぞましい言葉で罵り合い、殴り合っています。
かと思いきや「かわいいかわいい」と、眠りについた妹をなでる兄。
「なんなんだて。訳がわからんわ」と、一人っ子の父は困惑しています。
 
兄妹の母親に対する態度も度を超えています。
所詮妻と私は他人同士。
紙切れ一枚の仲です。
だからどこまでいっても、多少の遠慮はある。
 
子どもらの容赦ない態度に発狂する妻。
そして私はビールを一口。
ああ、ずっと一口目だったらいいのにな。
 
自分もそういえば、「クソババア、早く死ね!」と反抗期によく言っていたな。
母親も気が強いものだから、「アンタに言われんでも、いつか死ぬでいいわ。このクソだわけ!」と足で顔を踏まれたこともあった。
 
さて、社員のお陰でのんびりさせてもらった正月に、長年の夢がひとつ叶いました。
それは、家族四人で『桃鉄』をやることでした。
 
初の家族桃鉄。
「泣いたら即ゲーム終了」という過酷な条件を乗り越え、妹が見事に逆転優勝。
家庭的には、最高の展開で幕を閉じたといっていいでしょう。
 
当然娘はご機嫌で眠るのかと思いきや、またも些細なことで兄と喧嘩し始め、結局泣きながらベッドに向かう羽目に。
しかし翌朝には、またケロっとして仲良くしているのです。
 
遠慮がない兄妹の喧嘩は面白いですが、大人には遠慮が必要です。
そのストレスを無理に無くそうとせず、発散させようという気持ちで、私は慎ましく生きております。
 
「子どもは遠慮がないからヒヤヒヤするよ」
「え? あなたはそれで遠慮してるつもりなの?」

と、妻が顔を強張らせました。
すると、

「お母さん、水、水」

と、息子がゾンビのごとく近寄ってきました。
そして妻が発狂しました。