追加11章 カテジナVSウッソ~否定と執着 | Vガンダム考察 カテジナ・ルース アンチヒロインの肖像

Vガンダム考察 カテジナ・ルース アンチヒロインの肖像

人が闘争本能のままに生きるのは進化のためにしている事
それは悪ではないのだから

忘れてたので、改めてカテジナとウッソについて追記

ウッソ・・・
子供っぽい理想をカテジナに押し付けるだけで、カテジナの本質を認めようとしない

ウッソ─「ウーイッグのカテジナさんでしょう?あなたは家の2階で物思いに耽ったり、盗み撮りする僕を馬鹿にしてくれていればよかったんですよ!!!」
ウッソはカテジナに「ウーイッグのお嬢さん」である事を求める
自分の思い描く理想の姿である事を求め、自分の理想とは異なるカテジナを否定する

最終戦に及んでも、「お前がカテジナさんを変えてしまった!」
「あなたの弱さがカテジナさんを迷わせた!」
と、クロノクルを責めるウッソ
ウッソからすると、カテジナは本当は自分の理想通りの人であり
変わってしまったのはクロノクルのせいだと言いたいのだろう

だがそうではない 最期までウッソはカテジナの本質を否定し続ける
その否定がカテジナの心に嫌悪を生み、憎悪を生んだともいえるのに…

カテジナ・・・
ガキの甘ったれた理想像に付き合わされるなんてまっぴらごめん
カテジナ─「男の子のロマンスに、何であたしが付き合わなければならないの!!!」

ウッソに限らずカテジナはある種の男に嫌悪を見せている
わかりやすいのがブロッホだ
彼は登場するや「女子供に本物の戦いというのを見せてやります」と息巻く
その言葉にカテジナは露骨に嫌な顔をしている

そもそもの要因は父親にあるのだろう
お前のためだと言って自分の考えを押し付ける
言う事を聞かないと感情的になって暴力を振るう典型的なダメ親父である

ウーイッグでのカテジナと父親とのやり取り
父親に対して見せた嫌悪と反発はカテジナの内面を象徴するものであったと思う

女を尊重せず見下す男への嫌悪と反発

例えばオデロ、彼の言動には随所に女を見下した性質が伺える
それ故にエリシャに「あなた女を馬鹿にしてるでしょう?」と非難される
オデロ─「ウーイッグのお嬢さんは嬢ちゃんをやってりゃいいんだーっ!!」
そして、それ故にカテジナに殺される

ウッソは「ウーイッグのお嬢さんはこうあるべき」=「女はこうあるべき」と説く
それは子供じみた理想を押し付けているだけの事であっても
カテジナからすれば、女性を尊重せず見下す男と同一なのである

ウッソに対するカテジナの言動の中で、よく見られるのが
「バカにして!」「バカにするのか!!」という台詞

カテジナという人間の個を認めようとせず否定し続けるウッソは自分を見下す存在
ウッソに敗れればウッソの言ってる事が正しくなってしまう
(それはカテジナをお嬢さんという枠に抑え付けようとする男達に屈服する事に他ならない)
…だからウッソを倒さなければならない
カテジナがウッソを倒す事に執着した一因である

《否定…そして執着》

それにしても何故ウッソがそこまで
カテジナが「ウーイッグのお嬢さん」である事にこだわったのか??

ウッソは実に物分かりの良い出来た子である
リガ・ミリティアの大人達になんだかんだ丸めこまれ 
戦争の道具にされても、大して文句も言わない
再会した父と母が、どこかそっけない態度でも我がままを言ったりせず
そもそも、幼いウッソを捨てた両親に対してレジスタンス活動が忙しかったと言われただけで納得し、ろくに恨みごとをぶつけもしないのだ
シャクティが暴走し母が捕まってもシャクティを責めるどころか
「シャクティだって僕達を助けるつもりでおじさんの所に行ったのに僕が連れ出して来てしまった 謝らなくちゃいけないのは僕の方かもしれないんだ」
なんて言っちゃうくらい寛容である

なのに、そんなウッソがカテジナの事になると人が変わる
カテジナの選択に理解を示そうなどといった様子は微塵もなく
頭ごなしに否定する「おかしいですよ!カテジナさん!!」

本当ならウッソがカテジナにぶつけた想いは、母や父に向けられるべきものなのだ
「僕の母さんでしょう?僕の母さんでいてくれていればよかったんです!」と
それなのに、その想いは再会した母にも父にも向けられる事はなく、
カテジナに向けられるのだ?何故か?何故だろう…???

(以下、あまり考えがまとまっていないのですが…)
ウッソは母に求めるはずの(求められなかった)理想をカテジナに求めた

思えば、ウッソの回想シーンに出てくる母は、優しく子供を愛撫する姿ではない
まだ幼いウッソがケガをして泣いていても突き放す様に厳しく指導する姿だ 

ウッソのパソコンにあるカテジナの写真…笑顔の写真は1枚もない
(むしろ盗み撮りに気付いている写真では不快な表情さえ見せている)
盗み撮りしていた頃から冷たくあしらわれていたであろう事が想像できる

ウッソはカテジナに、自分を突き放す母の姿を重ねていたのではないか?
まだ幼い頃に母が自分をおいて居なくなるというのは
当然ながらウッソの心に深い傷を残したはずだ

それでも母は立派な仕事をしており、そのために自分をおいていかざるおえなかったのだと自分を納得させてきた
(この辺は、18話でのマーベットとウッソのやり取りから推測出来る)
しかしそうなると、人間「はけ口」が必要になる

だから「ウーイッグのカテジナさんでしょう?あなたは家の2階で物思いに耽ったり、
盗み撮りする僕を馬鹿にしてくれていればよかったんですよ!!!」となるのだ

カテジナと恋人同士になりたいわけではない
ただカテジナに「ウーイッグのお嬢さん」でいて欲しかった
手が届きそうで届かない距離感で憧れていられる人でいて欲しかった
母にぶつける事の出来なかった「自分の母でいて欲しかった」
という想いをカテジナへの憧れに置き換えてきたのだから

そのカテジナが母と同じ様に自分の元を去り、
しかも敵の軍人である男といってしまうなんて…
そしてMSに乗り、戦場で殺しまくるカテジナが彼女の本来の性質であるなんて
到底、受け入れる事が出来なかったし認める事が出来なかったのだ

※憧れの対象に選んだ相手が、実は「危なっかしい暴走ちゃん」と気がついた時には遅かった…(外見だけで女を選ぶと痛い目に遭うというイイ例である)

追加12章につづく