人工授精は、タイミング療法と同じくクロミッドを用いて行いました。

週1,2回受診し、卵胞の大きさのチェックを行います。

約20mmに達したところでhcg注射を打って、翌日人工授精を行い、数日後にhcg注射を再び行うというような流れでした。

人工授精当日は、朝夫に精液を持っていってもらい、昼過ぎに人工授精を行ってもらっていました。

生理が来たら受診をし、このサイクルがまた始まります。

この方法で9回施行し、1度も陽性を見ないまま、転院となりました。

 

具体的にはこんな感じです。

1回目:D15 20.0 mm卵胞 → D16 AIH → 16日後リセット

2回目:D16 19.5 mm卵胞 → D17 AIH → 12日後リセット

3回目:D13 20.0 mm卵胞 → D14 AIH → 16日後リセット

4回目:D12 20.3 mm卵胞 → D13 AIH → 16日後リセット

5回目:D14 23.4 mm卵胞 → D15 AIH → 14日後リセット

6回目:D14 23.8 mm卵胞 → D15 AIH → 15日後リセット

7回目:D13 19.8 mm卵胞 → D15 AIH → 15日後リセット

8回目:D15 18.5 mm卵胞 → D16 AIH → 16日後リセット

9回目:D18 17.2 mm卵胞 → D19 AIH → 17日後リセット

 

自己紹介にも記載しましたが、6回目で陰性となった段階で、体外受精へのステップアップを提示されました。

「6回ダメだったので、次は体外受精を考えてください。」医師からはこのただ一言のみ。

キャリアアップや不妊治療の選択肢の多い大都市への引っ越しも検討しており、独り悩んでいた私は思わず涙してしまいました。

すると「あら泣いちゃったわ!」と看護師さんに他の部屋に移動するように指示され、「ここで落ち着くまで休んで」と言われて独り放置され、最低限気持ちの整理をしてそそくさと診察室を後にしました。

 

仕方がないことだと自分で自分を納得させ、その後も人工授精3回分、望みのかけらも抱けないまま通い続けました。

この病院に通っていた時間、特に後半の半年間は誰かに寄り添ってもらうこともなく、ただただ精神的に落ちていった辛い時間でした。

 

不妊治療は、原因があったとしても治療できるものはわずか、そしてその治療のやり方も確立していません。

医療機関は、少ないエビデンスや経験の中から最もらしいものを各々選択し、患者に独自の医療として提供します。

患者は、正解はないとわかっていながらも考え、誰かを信じ、治療を選択せざるを得ません。

その中で、自分に合う治療法にたどり着き、子供を授かることができたらラッキーというわけです。


不定期で回数の多い受診、自分の選択次第でどこまでもかかる自由診療費、体に負担のかかる処置、結果が得られないまま只々過ぎていく時間‥

  不妊治療はそんな闇の中でもがくような治療なんだと思います。

 

一つだけ、確実に結果につながることがあるとすれば、それは治療を無理なく続けるということだと思います。

そのため、暗闇の中をあるかもわからないゴール目指して、気長に一緒に歩んでくれるパートナー、そして信じられ頼ることができる医師・看護師の存在はとても大切です。

 

前の一般病院や次に転院した大学病院では、医師も看護師も、こちらの心情や体調を心配してくれたり寄り添ってくれ、ゴールが見えない治療の中で確実に支えとなってくれていました。


この不妊治療専門病院は実績がある有名な病院ではありましたが、あのまま通い続けていたら私は治療をやめていたかもしれません。