「サイレントマジョリティー」
何故MV再生1億6000万回超えのお化け楽曲になったのか。
6年前に社会現象になった曲を考察してみます。
まずは2016年という年を考えてみます。
姉妹グループとしてようやくブレークをし始めた乃木坂46は2015年に念願の紅白初出場を叶えました。
その楽曲は「君の名は希望」2013年に発表された曲であり、コアファンからはこれぞ乃木坂という曲だと評価されながらもヒット曲、代表曲としての存在感は今一つと言わざるをえなかった。
そして姉妹グループとして結成された欅坂46にはどんなグループにプロデュースされるのか注目されていました。
発表されたのが「サイレントマジョリティー」ちょっと軍服を思わせる衣装に身を包み、センターには平手友梨奈さんが圧倒的な存在感のある振り付けで登場しました。
「声を上げないものは賛成していると。。。」「人に任せるな 行動しなければNOと伝わらない」
いきなりメッセージ性の強い歌詞が登場し、楽曲も独特のラテン系のリズムを持っている。
そして、メンバーに笑顔はない。
これはメッセージソング、いや現代のプロテストソング(政治的抗議メッセージを含む歌)だと直感した。
「君は君らしくやりたいことをやるだけさ」
「One of themに成り下がるな」
若者は強いメッセージにすぐに反応し食いつき、自分たちの世代の代弁者を期待した。
年配のフォーク、ロック世代は懐かしさを感じるメッセージソングの登場を歓迎した。
そして、通称「サイマジョ」は広い世代に、性別を問わず、アイドルソングのカテゴリーを超えていく。
「見栄やプライドの鎖に繋がれたようなつまらない大人は置いて行け」
沢山の人たちがカラオケで歌い、それぞれの思いや普段の鬱屈したストレスをこの歌で解消し社会現象になっていった。
「NOと言いなよ!サイレントマジョリティー」
若者たちはこの時代のカリスマの登場を歓迎し、つまらない大人になりたくないと思う気持ちの代弁者と認定して熱狂していきました。
私はこの曲を始めて東京アイドルフェスティバル(TIF)で目撃し、凄いアイドルが登場したなと実感しました。
「サイマジョ」はもちろん「世界は愛しかない」のパフォーマンスも振り付けがいわゆるアイドルらしくない、例えていえば、創作ダンスのような美しさとアートな感覚を持ちました。
そして、シンクロ性の非常に高いアートなダンスにTAKAHIROさんのこだわりのメッセージをも感じました。
AKBや乃木坂を見てきた自分としては、別物の存在感のあるグループでプロデュースのコンセプトがよりメッセージ性の強いものを感じていました。
「君は君らしく生きていく自由があるんだ」 「大人たちに支配されるな」
「この世界は群れていても始まらない」「YESでいいのか?」
メッセージソングや、スポコン物のアニメというのはいつの時代も潜在的に求められていると思います。
しかし、それを誰がどう歌い伝えるか。
かつての尾崎豊がそうであったように、代弁者・カリスマの登場を時代は待っていたのかも知れません。
「サイマジョ」がはまった時代はSNSで若者が発信し、情報交換を頻繁にしているある種のデジタルカオスの時代。
そんな中で「僕らは何のために生まれたのか?」という普遍的な問いかけは、誰もが持っているアナログな心にしみわたっていったのではないか。
そしてこの曲は定期的にMVを観たくなり、カラオケで歌いたくなる。
平成のスタンダードナンバーになった。。。
PS
サイマジョ。
私はいつもこの曲を脳内変換で「最魔女」としてしまう。
欅坂46。
伝説の魔女は今はいない。
いつか魔女の復活はあるのだろうか。。。