3回目となる16人のプリシパル。
今年は1回目のムービー公開も行いました。

2年前400人のキャパの渋谷パルコ劇場で第1回のプリンシパルは9回行われました。
そして第2回は今年と同じ赤坂ACTシアターと大阪梅田芸術劇場で追加公演が行われました。

プリンシパルの最大の特徴と言えば毎日その場の投票で役が決まること。
これは、秋元Pが、AKBの総選挙に対して、乃木坂は毎日主役が変わる選挙を行うというコンセプトを掲げて始まったことです。(AKBが5年で到達したことを5か月でやるとも言っていました。)

この公演システムの素晴らしさは、予定調和を生まないライブ感と、お客が参加していることによる主観的な公演だということです。つまり、お芝居に来るお客は、読んで字の如く、客観的に観るものですが、プリンシパルに関しては、主観的に参加型のお芝居にしているところが素晴らしいのだと思います。

秋元Pが仕掛けているAKB48グループ、乃木坂46の全てのイベントはこの参加型の主観的なアプローチがあるのだと思います。だから、お客であるヲタクと呼ばれるファンは心を熱くしながらアイドルを応援する。握手会、生誕祭、総選挙、ジャンケン選抜、プリシパルにはそういうコンセプトと仕掛けがあります。主観的だからこそ、自分たちのアイドル、俺の推しという気持ちを高ぶらせることができるのです。

プリシパルはそれら多くのイベントの中でも、より実験的な要素の強いものです。
総選挙などと比べるとはるかにスピード感があり、ある意味の透明性高いからです。
少なくとも一人1票しか投票はできないし、インターネットを使ったシステムはブラックBOXとは言え、なかなか味わえない臨場感を会場にもたらしてくれます。
だから、リピーターも多い。というか2回以上観ないと、良く理解できないようなものとも言えるかもしれません。この辺は秋元Pの巧みな仕掛けにまんまとははまってしまいます。

さて、3回行われた16人のプリンシパル。
「アリス in 乃木坂」
「乃木坂歌劇団~迷宮の花園~」
「レッツゴーポリン姫」

この3回を比較することはあまり意味がないことなのかも知れません。
なぜならばそれぞれに設定された内容やオーディション方法が異なっているからです。
もちろん、今年は2期生は参加していることも、過去2回とは大きく違っていました。

しかし、敢えて私の主観的かつ、独断的な順番というか出来を判断するならば。。。
1位は「乃木坂歌劇団~迷宮の花園~」2位は「アリス in 乃木坂」3位は「レッツゴーポリン姫」とう順番になります。それぞれの年に70~80%の公演を観たので、主観的とは言え、全て観て来た方には賛同していただける部分もあるかと思います。

もちろん1回目は特別な存在です。
手探りで始まったこと、メンバーがまだまだ演技やダンススキルがなかったことが大きな理由です。ムービーで今年観た方は、その雰囲気と熱をある程度感じてたのではないでしょうか。

メンバーの中には精神的、肉体的に追い込まれて離脱寸前まで行った人も少なくないと思います。毎日トップ16人が選ばれるというシステムは想像以上に過酷であり、競争社会を突き付けました。でもこれも秋元Pの想定内の出来事だったのではないでしょうか。握手会もそういう要素は強くありますね。彼は常々芸能界には順位が存在すると公言しているし、実際にヒエラルキーがはっきりしている仕事です。その体験を突き付けたのが、プリンシパルなのだと思います。
その中でも、生田、高山の存在は1回目から突出しており、プリンシパルの2枚看板になり今もこの公演をけん引し続けています。

第2回は素晴らしいドラマと、新しいヒロインを生みました。
立候補方法やオーディション方法も変更されて、ある意味洗練されたものに進化していったとも言えます。ただ、1回目の過酷さは少し影を潜めました。それはやりたい役を選ぶことで、自分のキャラクターと得意分野を生かすことができるようになったからです。
その中から、橋本、能條という新しいヒロインも生まれ、その後の外仕事のチャンスに繋げていきました。1回目では苦手意識しかなかったメンバーも自分探しができました。
また、西野、若月のように10役を全て制覇した者も出てきました。
2回目のプリンシパルは、それぞれのメンバーがその後に自分が進むべき道というか方向性やキャラクターを見つけるきっかけとして重要なイベントになったと思います。

そして今回3回目です。
もちろん今年だけを観た方も多いので、その方がたとの温度差もありますし、比較することは意味がないという側面もあります。しかし、このブログ自体が独断と偏見に満ちた主観を書き続けているので、今年も率直な意見を展開させていただきます。

まずは良かった点から。。。

‐コメディは乃木坂メンバー。いわゆる私立お嬢様高校的アイドルにとっては、非常にハードルが高くチャレンジがあったこと
‐2期生、松井玲奈の参加によって、過去2回とは違う緊張感と、新しいエネルギーを感じることができたこと
‐コメディというカテゴリーで、新しいヒロインが生まれたこと。白石、井上、若月あたりは非常に目立っていたと思います(詳しくは個別編をみてください)

良くなかった点。。。

‐オープニングがVTRで行われたことでライブ感が損なわれた。また、内輪受けの物まねパロディは少なからず本編の物まね大会(オーディションが物まねばかりになったこと)の弊害も生んでいたのではないか。佐藤二朗さんは素晴らしい俳優さんであるが、リピーターの多いプリンシパルでは、2回目から完全に白ける結果になった

‐1幕のオーディション方法がまずかった。ランダムでコントをやるというやり方は一見面白いのだが、限られた時間内での2~5人でのコントは公平感を欠いていた。つまり、コントでは選ぶことができないことも多くあり、その結果投票はより推しや、人気に左右される結果になったのではないか。プリンシパルではこの1幕オーディションは全てのメンバーにとってのチャンスであり、特に、この機会で上を目指そうとしているメンバーにとっては非常に大切なもの。オーディション方法としては、過去最悪な結果になっていたと感じた。その結果モチベーションを持てなくなったメンバーもいたように感じたので非常に残念だった。

‐同じく1幕オーディションで、ものまねが横行してしまい、メンバー間で温度差ができたし、観ている者も少し冷めてしまった人たちも少なくなかったのではないか。ものまねはお笑いの一つの王道芸という側面もあるが、何かルール的なものも必要なのではないかとも感じた。

- 2期生の使い方に問題があった。現在2期生研究生は握手会以外にこれといった活動の機会がない。プリンシパルは乃木坂の旗艦イベントであり、ここに数多く参加できるかどうかはその後の活動に大きく影響するはずだ。そもそも研究生などというものは1期生にはなかったわけだし、今回も時間がある2期生は全て参加させてもなんら問題はなかったはずだ。オーディションの時間の問題というならば、いくらでも工夫をすれば良かったのではないか。プリンシパルに限らず、2期生の活用はメンバー育成の観点から最重要課題の一つである。育てるつもりがないなら、飼い殺しと一緒ではないか。

‐せりふ覚えが悪いメンバーが目立っていた。せっかく自分で選んで立候補しているのだから、せりふを覚えてこないのは、プロ意識を欠いているとしか感じなかった。もちろん、アイドルの緩いお遊びと観ると気にならないのかも知れないが、3回目になるプリンシパルでは、よりクオリティの高い結果を求められていたのではないでしょうか。9枚目シングル発売が並行して走っていたことも、準備不足の原因かもしれないが、7000円の高額チケットを買うファンの満足感が満たされていたのかどうかはしっかり検証する必要がある出来だったと思う。

最後に。。。

3回目のプリンシパルは非常に後味の悪い結果になったと思う。
それは、何が原因なのか。。。
現在乃木坂の置かれている立ち位置(48グループとのことなど)や、商業主義に走りすぎる運営に問題があることは、ファンとメンバーにとっては悲しいばかりです。
もう一度、ファン、メンバー、運営がしっかりとWINWINの関係になるにはどうすれば良いのかを検証し、実行していく必要を強く感じたプリンシパルだったと思います。

ビジネスなど、なんでもそうですが、短期的な成果主義を前面に出すと必ず問題が出てくるし、一番肝心で重要なことを見失ってしまいます。それは、人を育てるということではないでしょうか。ソニーと言うグループ会社自体(本体含む)がある時点から見失ったもの。それに気づいてしっかり修正できるかは期待できませんが、アイドルたちには経験を通じて先の人生の為に何かを掴んで欲しいと願います。

日本発のクールジャパン文化の象徴であるアイドルというコンテンツを、大人たちのビジネス消耗戦だけには終わらせたくないと考えているのは、私だけではないはずです。