2020.2.11 2019年キネマ旬報ベスト・テン表彰式に行ってきました。

 

 

これは、2019年の公開された日本映画・外国語映画のベスト・テンと各個人賞を表彰するもの。今年で93回目を迎え、米国アカデミー賞よりもちょっとだけ古く、トロフィーがアカデミー賞よりちょっとだけ重いってのが自慢♥ということらしい(笑)

 

詳しい順位等は、ぜひキネマ旬報2月下旬号で確認してほしいのだけど、細かい投票結果がすべて明らかにされているので、ついついちょっとだけ分析まがいのことをやってみたくなった(笑) 大した話ではないので、興味ない方はスルーしてくださいな。

 

●ベスト・テンの基本

 投票者数58人。投票者はマスコミ記者や映画評論家など。

 1位10点、2位9点…と10位までに点数を入れ、その合計点で競われる。

 個人賞に関しては、同じ審査員が該当者1名を選出し、その合計で競われる。

 

●半世界の総合成績

 

脚本賞、読者選出日本映画(監督賞)1位、助演女優賞の3冠でした! 

おめでとう!

もちろん3冠もすごいのだけど、日本映画全体の2位というのが圧巻。でも2位だから悔しいな~ってのももちろんある…。表彰式後に1位となった「火口のふたり」の上映会があったのだけど、贔屓目を抜きにしても私にはあまり響かなかったので余計である…。ま、それでも宣伝もママならぬ状態だったのに結果が出てくれたのは本当に嬉しい。

 

●投票者数…順位に関わらず、審査員が選んだ2019年の映画10本を見てみる。

 

※全体=ベスト・テン順位

 投票者数=該当映画を10位以内に選んだ人数

 投票割合=全体の何%が該当映画を10位以内に選んだか

 

やはり全体で順位が高いものほど投票者が多いという結果(当たり前かw)。top3に入るには、全体の4割を超える人に評価されないとダメということらしい。1位~5位までの投票割合の数字の変化はなだらかで順当と言える。参考までに下記に「映画芸術」における投票者数と投票割合をつけておくが、「映画芸術」が偏っているといわれる所以がよくわかる。映画芸術の審査員30人中22人(73%)が1位「火口のふたり」に投票し、そのうち1位をつけた人数は7人いる。

それでも1~3位の順位は「キネマ旬報」「映画芸術」とも同じなので、これら3本の映画の評価は正しいと言える。

 

 

●平均点…審査員がつけた点数の平均点を、投票した人数に関係なく見てみる。

 

面白いのはまったく全体の順位と違うということ。

つまり全体でtop5に入る映画は投票する人が多いから上位にくるのであって、点数が高いからくるのではない、ということがわかる。また、全体順位が高くないのに平均点が高いということは、一部の人間にはかなり好まれるのに対し、好まない人間も多いという、好き嫌いの激しい映画ということができる。「新聞記者」は確かに賛否両論あったよね。3位に入った「蜜蜂と遠雷」は全体でも5位なのだが、投票者数においては実は8位タイ。この映画は高評価をする人が多かったから、上位に食い込んだ唯一の映画ということになる。

 

下表は、平均点を全体の上位5作品のみで比較したもの。順位はこう変わるのね。

ちなみに30位までの映画の平均点の平均値をとると6.09になり、それに最も近い数字なのが「半世界」である。このことから「半世界」は投票者数も平均点も両方そこそこよいから全体の2位に入ってきたのだと推測ができる。「宮本から君へ」が投票者数では「半世界」と同じなのに平均点が低いことが、2位と3位をわけた結果ということもわかる。ってか、平均値より低いってちょっと意外でしたわ。

 

ちなみに「映画芸術」においては、平均点上位5作品の順位と点数をみてみると「新聞記者」は62位、「蜂蜜と遠雷」は63位。これらはベストに投票した人がいる一方で、ワーストに投票した人も多く、相殺されてのこの順位ということになるので、好き嫌いが激しい映画ということは裏打ちされる。

しかし、である。この2作品は毎日映画コンクールで「日本映画大賞」「日本映画優秀賞」をとっているわけで、複数人が点数をつけて選ぶ方式とそうでないものの違いが明らかに出ていて、さらに言えば毎日だと日本アカデミーほどではないにしろ、大作出ないと難しいのかなという印象はやはりぬぐえない。

 

●上位獲得数…審査員が高評価した映画は何かを見てみる。

 

1位獲得数、1位+2位の合計獲得数、1~3位の合計獲得数、この3つで確認する。

面白いのは、圧勝で全体1位だった「火口のふたり」を1位につけた人が意外と少ないということ。「新聞記者」は1位につける人が多いが、2位は1人、3位は0人という結果。好みがわかれる映画ということが顕著である。また平均点の高い「蜜蜂と遠雷」が表外(1位をつけた人は1人のみ)で、新聞記者と違って平均点の高さと1位の多さはイコールではないのも面白い。

1位と2位をつけた人数でみると「半世界」の完勝。全体の2割の人が2019年の映画1,2位を争う映画にしているというのがすごい♥

2位まで含んでもなかなか全体1位の「火口のふたり」があがってこないのも意外。

 

3位まで含むと、ランキングがようやく全体ランキングと似た感じになってくる。1.2位では苦戦していた「火口のふたり」がここでは圧勝。なんとこの映画を3位にした人は12人もいる! 1.2位じゃないけど「かなりいい方」という評価ということですかね。

 

●読者投票…本誌の通りではあるが、全体ベスト・テンとの差異を確認する。

 

全体ベスト・テンと読者投票の差が少なければ少ないほど、その映画の評価は正しいものいうことができるが、これに関しては「半世界」が圧勝。一般にも映画評論家にも受け入れられたことは本当に嬉しい。「凪待ち」に関してはやはり慎吾ファンは多いのだなぁと実感。ハッキリ言ってファン数からみても(吾郎担はマメだということを差し引いても)一般の方に評価してもらえたから「半世界」が1位をとれたことを裏付ける結果であり、かなり感慨不深いっす(´;ω;`)

 

なお、全体上位5作品で比較してみると、全体で圧勝の「火口のふたり」が読者投票では5作品中最下位。ほかが2位~5位まで順位通りに並んでいることをみると、「火口のふたり」は一般読者には評価されにくい、玄人ウケする映画だったことも見て取れる。そっか、だから私には響かなかったのか…(笑)

 

ということでキリがないので、これぐらいにしておきます(笑)

最後に1位から30位の全体表をつけておきます。

※緑=高値 薄オレンジ=低値 オレンジ=平均