僕は山の頂上に上り詰めたあと村を見ながら佐藤さんが来るのを待ち始めてからまる三日が経とうとしていた。パン一切れは最初に頂上に来た時に食べてしまいここ二日何も食べていない。そして村は時と共に赤く染まった。それがどちらの血なのかはわからなかった。
 ここ三日ひとりぼっちだ。僕は決めていた。明日までに佐藤さんがこなかったらここを出発しようと・・・

 午前四時半、銃声はしなくなった。戦いが終わった。僕はすごくホッとして寝てしまった・・・
 
 時の流れは早い。僕が起きると僕はテントの中にいた。隣には山に登る途中で助けた外国人がいた。僕はここで捕まったと確信した。
「おぉ、君起きたかね。」
と声をかけてくる。
「はい。」
と僕。
「君はロシア軍に捕まったんだよ。」
「わかってます。ところでなぜ日本語を?」
「わしは昔日本に留学しておったから日本語が使えるのだよ。」
「へぇ~」
その会話を終わらせると外国人のおじいさんは「ここにいなさい。」と言ってテントから出ていった。ふとカレンダーを見ると頂上にいた時から五日もたっていた。時の流れは恐ろしいものだと分かった僕は時間を無駄にしないで生きようと思い、テントを出ておじいさんを探し始めた。

真野 まさき 作

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