同日に鑑賞した2本のヒーロー映画について書く。

1作目は『アクアマン/失われた王国』。
「ワイルド・スピード」シリーズ等で知られるジェームズ・ワン監督、DCユニバースの最新作だ。

前作でアクアマンが期待されていながら充分に果たしていなかった役割、すなわち「地上の世界と海の世界の架け橋になる」という要素が満たされ、続編としては意義のあるものになっている。

一方で、本作には非常に気になる点がある。
パロディやオマージュと呼ぶにはあからさま過ぎるくらい、MCUの様々な作品と展開が同じなのだ。

まず、前作のヴィランでありアクアマンの異父兄弟であるオームは、本作の冒頭では囚人となっているがアクアマンの任務に協力する過程で和解していく。
この様子は作中でも言及がある通り、マイティ・ソーとロキの関係そのものだ。

また、アクアマンは本作の最後で海底王国アトランティスの王として、国連加盟を宣言する。
アトランティスの優れた科学技術を地上世界と共有することで、環境破壊などの諸問題を共に解決するためだ。
この展開もワカンダの王であるブラック・パンサーの選択とまったく一緒だ。
本作のヴィランであるブラックマンタ(ネーミング!)の死に様も、ブラック・パンサーからの情けを受けることを良しとせず自ら命を断ったキルモンガーと同じ(スーツのルックス含め、キルモンガーの方が数倍かっこいいのだけれど)。
ラストの演説シーンに至っては…

タトゥイーンのような都市の玉座でふんぞり返るジャバ・ザ・ハットのようなキャラクターも登場するので、本作はMCUのみならずルーカス・フィルムを傘下に収めるディズニーへの壮大なラブレターなのかもしれない。
というより、ラブレターでしかないのでは。

 

 

2作目に鑑賞したのはVシネクスト『仮面ライダー555 パラダイス・リゲインド』だ。

平成ライダーシリーズ4作目「仮面ライダー555」の製作陣が再集結し、20年後の世界を描いている。

テレビ放送当時に公開された劇場版『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』と対になるタイトルだが、『パラダイス・ロスト』の舞台はテレビシリーズとは異なる展開を見せるアナザーワールドなので(これはこれで最高だが)ストーリー的には関連はない。

むしろ本作は同じ井上敏樹脚本の劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』を強く連想させる。
『PROJECT G4』では、警視庁が使用する特殊強化装甲服G3-Xの上位互換であるG4がヴィランとなる。
それと同様に、本作のヴィランである仮面ライダーミューズはスマートフォンに「666」と入力することで変身する。
仮面ライダー555(ファイズ)は名前の通り「555」と入力するのでわかり易い上位互換だ。

G4もミューズも相手の攻撃を予測しながら戦うことができるのが強みなのも共通している。
時代を反映し、前者では超能力、後者ではAIを使うという手段の違いがあるのがまた面白い。

また、本作のラストでは最新のシステムで変身するミューズに対し、主人公・乾巧はあえて旧式のシステムでファイズに変身し、戦うことを選択する。
理由を問われた巧が「これが俺だ!」という場面も、『PROJECT G4』における「氷川誠として戦いなさい!」というセリフに象徴される「意志=アイデンティティ」というテーマに直結している。

エンディング曲のタイトルが「Identiφ's」というのも気が利いている。
テレビ放映時のオープニング曲「Justiφ's」が劇中で流れた時にも鳥肌が立ったが、同じ座組で製作され同じくISSAが歌う新しい主題歌も作品にマッチしていて良い。

『PROJECT G4』が大好きだっただけに胸が熱くなった。
今回の日米ヒーロー対決は、日本の圧倒的勝利だ。