あなたは人に誘われ、この先にすばらしい物が待っているからここをまっすぐ進むといいよと言われます。「すぐそこだよ」(英語ではJust around the corner ) あなたはそれを信じその方向へ歩き始めます。歩いていると、だんだん道が険しくなります。足を怪我し痛みがあります。だんだん暗くなり、天気も悪くなってきました。どうしますか。誘った人は、笑顔で、道が際しくなるのは、予告されていたことだからと大丈夫,もうすぐそこだよ、と言います。あきらめようとするたびに、その人は、笑顔で「もうすぐそこ!」と言います。笑顔で「神様が必ず助けてくださる。ひたすら待ち続けて。」と言います。
もう駄目だと、あきらめて、帰ろうと思い、後ろを振り向くと、帰り道がふさがれていました。自分の逃げ道がふさがれていたことに気づいていなかったのです。その人は、笑顔で「進むしかないよ。もうすぐそこだから。」と言います。どうしますか?
 
エホバの証人になろうとして、進歩する段階で、気づいていないことがあります。それは、逃げ道をふさがれているということです。
 
 

精神的な健康維持のため、逃げ道は必要

「逃げ道」というのは、災難から避難するという意味ではなく、例えどんなに良いことであったとしても、何か大きな決断をするときに、かならずバックアッププランを持っておくことによって、精神的に安心感をもてるということです。それは、かならず逃げる時が来るから、という意味ではなく、それがあることによって、安心感があるのです。
 
 
若いときに、自分の夢を求めて、人生をかけて何か大きなことをすることがあります。とても大きな決断で勇気のいることです。でも、実は、万が一何かあったときは、親元に帰ればいい、というある意味、逃げ道、バックアッププランがあるからこそ、そういうことができるものです。逆にそれがないと、まずは自分が食べていくことを優先して考える必要があるでしょう。
 
大人になってからも、家を購入するのに35年ローンをします。でも、それは、35年間必ずローンを払い続ける保証があるわけではなく、万が一うまくいかなかったときはどうするかというのも十分考える必要があります。例えば、貯金とボーナスでできるだけ、早く返済をしておこうとか、万が一は、売りに出しても、ここなら地価がさがらないだろう、とか、あるいは、相続財産があるから、親の保証人があるから。などです。
 
自分が正しいと信じて進んでいる道であっても、「逃げ道」は必要です。万が一に備えて、安心感があります。本当に正しい道であれば、その「逃げ道」は自然に消えていきます。「逃げ道」がないから、その正しいと信じる道しかないから、その道を行くのではなく、いつも「逃げ道」はあるけれども、自分が行きたいから、その道を行くのです。自分自身にも満足感があります。
逆に逃げ道がないと、それが正しいと思えても、不安があり、自分が正しいと信じる道であっても、踏み出せなくなります。つまり、精神的な健康のために、つねに「逃げ道」を持っておくのは重要です。
 

エホバの証人は気づかないうちに「逃げ道」をふさいでいた

JWも、本当に正しい道ならば、「逃げ道」があっても、自分でそれを求めようとしなくなります。あえてふさぐ必要はないはずです。
 
エホバの証人をやっていく上での逃げ道とは何か
「逃げ道」はいくつかあります。万が一エホバの証人を辞めた時、あるいは、エホバの証人を辞めなかったとしても、いわゆるJWの言う模範的なJWでなくなったとき、つまり、体調を崩したり、老齢になったときでも、食べていける、貯金、仕事、手の職、学歴、また、その時に相談したり、話を聞いてもらえる、友達や、そのような役割をはたす組織もあります。
 
もちろん、そういったものも全く頼れない上京の時もあり、誰か見ず知らずの人や組織に頼らざるをえなかったり、神に祈るしかないときもあります。しかし、それは、できるだけ自分で準備しておいたうえでのことです。エホバの証人は、最初からそういった「逃げ道」となる、友や金銭的支えを最初から築かないようにさせています。
 
 
研究生の段階から
研究生の段階では、みんなでちやほや大歓迎と誉め言葉のシャワーをあびせ、とてもいい人たちだと思います。しかし、進歩しようとすると、徐々に逃げ道つぶしが始まります。ただし、この段階では、強く求めません。研究を辞めてしまうかもしれないからです。この段階では、「反対を予期する」ようにだけ、言っておきます。最初は、そんなことは信じませんが、それをこの段階で言っておくことによって、のちの逃げ道つぶしを、「これがイエスが言っていた反対か」と思うことができるよう、備えておくのです。
 
それまでの交友を遮断することによって
集会や奉仕に出席するようになると、時間が無くなります。それ自体、交友を遮断する理由になってきます。仕事の仲間と飲みに行くなんてこと、週末に友人家族と一緒にBBQなんてこと絶対にできなくなります。・
さらに、乾杯ができない誕生日会ができない、お正月はいわえないなど、交友をさけなくてはいけない理由がたくさん出てくるのです。
さらに、自分の今のJWとしての状況を恥ずかしく思っている人が多いので、基本的に
基本的に、昔の同級生とは会いません。
エホバの証人以外の交友を「悪い交わり」としてますので、そういったともとは、友情を常日頃から培っていないのです。
 
 
一番大切な家族、親戚との絆に亀裂を入れることによって
この点が一番残酷なものっです。まず、冠婚葬祭に参加できなくなるので、まずそこで絆が薄れます。正月やお盆も会わなくなり、年賀状、お歳暮、誕生日なども言わなくなります。つまり、家族親族との絆をつなぐものがなくなるのです。
親が宗教を反対するケースもあります。その場合、事実上親と絶縁状態になっている人も多いです。
また、未信者の夫がいるケースがとても多いです。未信者の夫がどんなに反対しても、集会や奉仕に関して絶対に妥協することはありません。夫への敬意や、頭の権なども、夫がJWにならない限り、認めません。結果、亀裂が入るのは当然です。夫がいくら一生懸命はなしても、最初から聞く耳を持たないように教えられています。夫がそこまで一生懸命言っているのであれば、少なくとも夫の言うことを真剣に聞いて、自分も譲歩できる部分があるか考えてみるのが普通ではないでしょうか。
さらに、排斥者などがいると、理由はどうあれ、あるいはその人の事情を聴くこともなく、避けます。
家族や親族は、一番重要な絆と言えます。悪い事例もあるので、すべてとは言いませんが、家族は、自分が病気になったとき、経済的に困ったとき、何か失敗したとき、老齢になったとき、支えてくれる人です。その「逃げ道」をふさいでしまうのです
 
極端な刷り込みをする
エホバの証人は確かに個人個人はいい人もいます。でも、それを言えば、世の人も同じです。
しかし、エホバの証人は、ものみの塔の記事の中で、世の人が、セックスを求めてきて抵抗するのが大変だとか、暴力的だとか、盗みを働くとか、大酒のみだとか、そういう極端な例を出してきます。
結果として、エホバの証人の多く、特にJW2世たちは、世の人はすべて、淫乱だ、大酒のみだ、利己的で、お金だけを愛する人だという極端なイメージを持ちます。
出会うすべての世の人に、勝手な偏見を植え付けているのです。いつの間にか、世の人とは、かかわりたくないと思うようになります。
 
考えてみてください。例えば、あなたの参加する集会などで、いつも、「アメリカ人は、利己的で、大酒のみで、淫乱で、暴力的だ。」といって、悪いニュースだけを見せたとしましょう。あなたは、それを信じるようになり、アメリカには行きたくないと思うようになるのではないでしょうか。
 
実際には、アメリカにも悪い人はいますし、ニュースになるのはたいてい悪いことです。でも、いい人もたくさんいます。日本も同じです。
 
エホバの証人にもいい人もいますが、悪い人もいます。
 
 
 
お金を持たせないことによって
エホバの証人は、お金に関して極端な刷り込みをしています。お金があることの安心感は、貪欲であるというものです
確かに、お金をひたすら求めたり、お金ががありすぎるのは、幸福の必要条件ではありませんが、ある程度のお金、また、自分が幸福な人生を送るために必要なお金を持つことによる安心感は、貪欲ではありません。そして、その必要なお金の額は人により違います。精神的健康にも必要な条件です。
エホバの証人は、あなた個人にとって、どれほどのお金が必要なお金なのか、をみつけることを助けてくれません。ただ、お金を稼がず、開拓奉仕をしていればいいのです。
 
 
仕事を持たせないことによって
仕事は、基本的に、週3日か4日だけをするように勧めます。残業はできません。
開拓奉仕をするように、集会を休むな、家族の崇拝をしろ、予習をしろ、会衆の成員とまじわれ、奉仕をしろ、、、そんなことをしていれば、当然まっとうな仕事はできないのです。正装の仕事などの、アルバイト的な仕事しかできません。
しかし、老後はどうするか、年金は払うべきか、子供が生まれたらいくらかかるか、親の世話が生じたときの金銭的な支援がどれだけ必要になるか、貯金はどれくらい必要か、通常は、そうしたことを考えて人生設計をするように教えますが、そんなことを考えないように教えます。
また、まっとうな仕事を若いときにしていれば、ある程度年齢行ってからもつぶしが聞きますが、手に職も、貯金もないので、中年になってもひたすら働き続けなければならないのです。
 
学歴を持たせないことによって
JW2世の辛いところは、若いときに可能であれば持っておくべき、学歴を持っていないことです。大学がすべてではありませんが、あえてそれを否定する必要もありません。最近のビデオではあからさまに大学に行くとJWから離れる可能性が高くなると言っています。しかし、大学の学歴があるだけで、収入もちがいますし、海外へのビザがおりやすくなったり、大人になってからとれる資格の幅も増えます。つまり、若いときは、アルバイトだけでやっていけるかもしれません。しかし、中年になると、こどもの養育費、親の介護、自分や家族の病気など、さまざまな状況に対応できなくなってしまうのです。若いときに、学歴があるだけで、それに少しでも耐えやすくなるのです。
 
報道は間違っていることがも多いということによって
エホバの証人は悪いニュースを話すのをきっかけに、勧誘を始めることが多いので、ニュースをよく見ています。しかし、エホバの証人に関する報道は、どうでしょうか。報道は間違っていることがある、偏見も多い、などと言って信じないように勧めます。つまり、情報をシャットアウトさせようとしているのです。
 
ネットの利用に注意するように言うことによって、
ネットに関しても同じです。インターネットの普及に伴って、いつもネットの情報に気を付けるようにと教えてきています。

JWのエリートの道を歩ませようとすることによって
エホバの証人のエリートの道、つまり、高校卒業後、開拓奉仕をする、援助奉仕者や長老になる、必要の大きいところに行く、そういう道を歩ませようとします。そうしない人をあたかも悪い人かのように見なします。
しかし、それらを追い求めれば追い求めるほど、「逃げ道」はなくなるのです。
 
「もうすこし」という言葉
いろいろと心配になって黒と長老から、楽園はもう少しだから、と慰められます。もうすこし(英語 Just Around the Corner)ていうオリジナルソングもありますね。でもよく考えると、生活の不安はまず自分で対処したうえで、エホバに頼る必要がありますよね。
何か辛いことがあっても、楽園での希望を夢見るように教えます。
 
排斥の恐怖をもたせることによって
極めつけは、離れようとすると、排斥の恐怖があります。しかも、その排斥の恐怖を利用して、家族を悲しませてもいいのか、と言ってくるのです。
 
 
経済的にも、時間的にも、友情や家族のきずなの面でも、「逃げ道」をふさがれているのです。もう逃げられません。
 

どうしたらいいか

経済的に独立する
まっとうな仕事を探しましょう。週休3,4日と言った仕事ではなく、全日で、社会保険も入ってくれるところをさがしましょう。
開拓奉仕や、集会の参加は、そのあと考えましょう。
年金を払いましょう。そして、貯金をしましょう。お金が第一なのではなく、それに対して言辞的な見方をしましょう。
しょっちゅうキャンペーンをして、忙しくさせていますが、それに乗らずに開拓奉仕をしないほうがいいでしょう。
 
世の人でもいい人はいる
世の人すべてが悪いわけではありません。また、JWだからと言って、その人を全面的に信頼できるわけではありません。つまり、良い人間関係を構築するには、時間がかかり、その人をよく見て、お互いに少しずつ心を開き、信頼していく必要があります。世の人すべてが悪い人で、JWすべてが良い人ではありません。
最初から、信頼する必要はありませんが、仕事や、学校で知り合った人と、時間を過ごして、一緒に食事をしたりして、交友を深めましょう。いつか助けられるときもあるかもしれません。
 

家族を大切にする

なによりも、家族を大切にしてください。エホバの証人は、家族を後回しにするように教えています。しかし、あなたが病気になっても、JW内で経済的に支えてくれる人はいません。家族は、大切です。未信者の夫も、意見を十分に尊重しましょう。現役の方であっても、お正月や誕生日じゃないときに、頻繁に会いに行ってください

 

わたしは、現役JWにJWを辞めろとはいいません。私も現役です。やめられない事情もありますし、それぞれの心情もあります。しかし、わたしも数十年JW2世をやって気づいた点です。「逃げ道」というのは、JWを辞めた時のためというわけではなく、よりよい幸福な人生のため、よりよい老後のためです。そして、精神的健康のためです。