オーストラリアではどの町にもだいたいビジターセンターがあって、
その地域の宿の情報やアクティビティ、ツアー情報を仕入れることができる。
そして頼めばその場で予約もしてもらえるので、
マーガレットリバーに到着後もやはり向かうのはビジターセンター。
マーガレットリバーは国内最高レベルのおいしいワインの産地として有名な町。
そして往年のワールドチャンピオン、ナット・ヤングをして桁はずれと言わしめた
オーストラリア屈指の良質の波が立つ場所。
(しかも1か所だけでなく、この地域では73のブレイクポイントが点在するらしい。)
今回のマーガレットリバー滞在の理由はずばりこの2点。
・ワイナリーでおいしいワインを飲む。
・ワールドクラス(ギロチン、ギャロウズ、スーサイド等の名前を聞くだけで
絶対無理なポイント)の波に乗るのは無理なので、僕でも入れそうな
優しいポイントを探してサーフィンする。
ワイナリーツアーに関しては比較的あっさりと決定。
※ツアーの詳細はまた別の記事にて
難航したのがサーフィン。
マーガレットリバーはサーフタウンに間違いはないのだが、
ビーチ沿いの町ではなく、ビーチまで約10kmの距離がある。
そしてバス等の公共交通機関が町とビーチを結んでおらず、
交通手段を持たない僕たちは自力でビーチまで行くことが非常に困難ということが発覚。
宿の受付で「自転車の貸し出しやってない?」って聞いてみたけど、答えは「No」。
「近くの自転車屋で1日25ドルで借りることができるよ。」と教えてくれたけど、
2台借りたら1日50ドル。50ドルあったらレンタカー借りれるっちゅうねん!
高いから却下。
ビジターセンターで仕入れたサーフスクールのパンフレットを見ながら、
「とりあえずビーチまで行ってショップで話を聞いてみる?」ということで歩いて行ってみることに。
道中でカンガルーや色のきれいなオウムを見たり、小鳥のさえずりに耳を傾けながら、
山道を10km、2時間強のビーチまでの散歩。
前半は平坦な道のりで遊歩道は木が覆い茂り、暑さを気にせず歩くことができた。
でも後半はアップダウンが激しくなり、
歩道の脇に陽を避ける木もなくなり暑さと若干の疲労を覚えたとき、
昔、たしか小学生のときの国語の教科書に載っていた「あの坂をのぼれば」という話をふと思い出した。
主人公の少年が自分の住んでいる町から一人で海を見に行く物語で、途中何度も坂が現れ、
そのたびに心が折れそうになるのを堪えながら海を目指して進んでいくという話だったような気がする。
「あの坂をのぼれば海が見える。」という言葉を心の支えにして何度も坂を越えていく少年が
果たして海に辿り着くことができたのか、肝心の結末部分を覚えていないなぁなんて考えながら、
僕もひたすら海を目指す。 「あの坂をのぼれば海が見える。」を合言葉に・・・。
そしてついにそのときはやってきた。
突然眼下に広がる美しいビーチ。
苦労したぶん見える景色も良くなるみたいだ。
海は見えたが目的地まではまだ距離がある。
しばし余韻に浸った後、また歩き始める。
パンフレットの地図を頼りに、
さらに20分程歩いたところでやっと到着。
でもサーフショップらしきものは見当たらない。
あるのはこんな看板だけ。
「??????」
後から来た人に「ここに来たらサーフボード借りることができると思って来たんだけど」と話しかけられる。
僕たちもそう思って来たんだけれど・・・
でも何もない。
「あの坂をのぼれば海は見えたけどサーフショップは無かった。」
リバーマウスのビーチで地元のサーファーをしばらく眺め、
丘の上からとんでもない沖でとんでもない大きい波を待っているサーファーを眺め、来た道を戻る。
さすがにまた2時間歩くのはきついなと感じた僕たちは、ヒッチハイクを敢行。
「TO THE CENTRE」と書いた紙を掲げ、車が来るのを待つ。
すると早速1台目が停まってくれた。
でも運転していた兄ちゃんが片手にビール瓶を持っていたのを、
ゆかが気づいて「あなたビール飲んでるから乗るの止めとく。」と言ったら、
「今開けたばかりだよ。」と返してたけど、運転してるときに開けたらあかんやろ。
その後車は通るけどなかなか停まってくれる車は現れず、
15分程経過した頃、2台目の車が停まってくれた。
今度はお酒持っていない。
車に乗り込んで自己紹介。
彼の名前はデイビット。仕事を終え家まで帰るところだった。
歩くと2時間、あんなに苦労して歩いた道のりを
車だと10分かからずあっという間に町に到着。
ありがとうデイビット。
この次の日にビーチまでの山間部で山火事が発生し、
ビーチを含め沿岸部の町に避難命令が出て立ち入り禁止に。
発生から5日経った今もまだ収まっていない。
幸い怪我人は出ていないようだが、沿岸部の町では住宅30棟が燃えたようだ。
そんなわけで未だ日本から持参のウェットスーツ出番なし。
〈たあ〉