NHKの朝の連ドラ「あんぱん」を毎日観ている。戦後80年にあやかったものか、軍隊や戦闘、空襲のシーンが多いように思われる。
先日、銀行時代の同僚・友人たちと博多で旧交を温めた。場所は筑紫口の「信長本家」、思い出が残る居酒屋である。当時の写真を見ながら昔話に花が咲いた。
一人の友人はいわゆる「軍事オタク」である。彼の御父上が日本海軍の潜水艦に搭乗されていたことから、海軍ファンのようだ。その彼から不思議な話を聞いた。
「映画などで、特攻機が開聞岳を仰ぐシーンがあるが、あの戦闘機は知覧から飛び立った陸軍のものではなく、鹿屋から飛び立った海軍のものである」という新説である。
知覧には日本陸軍の特攻隊の飛行場があり、鹿屋には日本海軍の特攻隊の飛行場があった。彼によれば、沖縄戦線に向かって知覧から飛び立つ特攻機の航路では、開聞岳は見えないはずだ、と言う。従って、あの特攻機は海軍の戦闘機だというのである。
少し調べてみた。
「俺は、君のためにこそ死ににいく」(2007年)という映画がある。知覧を舞台にしたものでDVDを持っている。この映画の中で、特攻機が開聞岳を仰ぐシーンがある。特攻機の中の特攻隊員は明らかに顔を右(西)に向けて開聞岳を仰いでいた。すなわち、特攻機は開聞岳の左側(東側)を通過していることになる。
地図を確認してみた。知覧から沖縄に向かって南に飛ぶ航路であれば、開聞岳を見ないことも可能だが、見ようとするならば、開聞岳は左側(東側)に見えるはずだ。従って、特攻機は開聞岳の右側(西側)を通過していなければならない。
一方、鹿屋から飛び立った特攻機であれば、開聞岳の東側を通過して沖縄に向かうと考えるのが普通で、彼の説もまんざら的外れではない、ということだろうか。
まあ、映画のシーン自体の誤りかも知れないし、特攻機の実際の航路を確認してみなければ何とも言えない。ただ、「特攻隊を見送った山」開聞岳は円錐状の形でどの方向から見ても同じように見えて目標物が見当たらない。
やはり、実際に知覧に行ってみなければ、答えは見つからないかもしれない。