「偶題」 于謙 -自作英訳初版- | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

以下は2年前の今の時期に書いたエッセーからの引用である。久しぶりに漢詩の英訳を試みたものである。

 

 

雨上がりの澄んだ青空の下、新緑の間を薫風(くんぷう)が吹き抜けてゆきます。梅雨入り前の爽やかな初夏を迎えました。

 

「偶題」    于謙(うけん)

薫風何処来                  薫風何処(いずこ)よりか(きた)りて

吹我庭前樹                  我が庭前(ていぜん)の樹を吹く

啼鳥愛繁陰                  啼鳥(ていちょう)繁陰(はんいん)を愛し

飛来不飛去                  飛び来たりて飛び去らず

 

(拙・日本語訳)

何処からか初夏の風が吹いてきて、庭の樹がさわさわと音を立てている。

樹の繁みでは小鳥が囀っているが、居心地が良いのか飛んでくる鳥はいても飛び去る鳥はない。

 

(拙・英語訳)

Balmy breeze coming from somewhere is blowing through green leaves on my garden.

Singing birds might love the clumps, where more comes but none flies away.