Vol.123【「雨に唄えば(SINGIN' IN THE RAIN)」というミュージカル映画①】の続きです。前回は、あらすじの紹介だけで終わってしまいました。
今回は、私が感じている、この映画の魅力について具体的にお話ししたいと思います。今回お話しするにあたり、メモを取りながらこの映画のDVDを見直してみたんですが、最初のシーンから最後のシーンまでお話しすることがありすぎて、改めてこの映画がいかに優れているかということを再確認しました。
最初に、この映画の全体的な面についてお話しし、次に、各シーンごとについてお話ししたいと思います。
[オリジナル 予告編]
《全体的に》
① まさにハリウッドの黄金時代の作品であり、完成度の高さは驚異的である。
② 誰が見ても面白い、とにかく楽しい映画である。
③ 「SINGIN' IN THE RAIN」というタイトルが、「どんな苦境に陥ろうとも笑顔を忘れず前を向いて歩いて行こう」というこの映画のコンセプトを表わしていると思う。
④ どのシーンも完成度が高く、手を抜いているシーンが一つもない。
⑤ 脚本がよく練られており、一つ一つのセリフにも手抜きがない。
⑥ 全編にわたって一貫してユーモアがある。
⑦ ドラマのシーンは、それぞれの登場人物を等身大で自然な演技で表しており、容易に感情移入ができる(登場人物が、まるで本当に生きている人のようである)。
⑧ 一人一人の演技や、また、撮影、大道具・小道具などのグレードが高く、また渾然一体となっており、この映画を全員で作っていこうという熱い思いが感じられる。
⑨ ドラマからミュージカルに繋がるところの展開に必然性があり、スムーズに繋がっている。
⑩ (これは私が勝手に思っていることですが)この映画は多重構造になっていると思う。まず、彼らが製作している「踊る騎士」という映画の世界があり、それを作っている人々の日常生活があり、さらに、適時挿入されるミュージカルの世界がある。
そして、ラストシーンでは、見つめ合うドンとキャシーの顔がアップになり、それがイラストに変わり、カメラが引いていくと、それはハリウッドの丘に立つ「SINGIN' IN THE RAIN」という大きな看板であり、それをドンとキャシーが見つめている。つまり、私たち観客は、ドン・ロックウッドとキャシー・セルドンが主演した「SINGIN’ IN THE RAIN」という映画を見ていた、ということなのである(分かりにくくてすみません)。
このような卓越した発想力と豊かな感受性があったからこそ、この映画の登場人物はまるで実際に生きているように感じられるのだろうと思う。このラストシーンはわずか1分ほどであるが、まるで「マトリックス」や今敏(こんさとし)監督の「パプリカ」の原型を見ているようである。
[SINGIN' IN THE RAIN ラスト・シーン](4分30秒あたりから)
[マトリックス Trailer]
[パプリカ Trailer]
今回はここまでとします。次回は、各シーンごとの魅力についてお話ししたいと思います。
(次回に続く→時期は未定)
※ Xに画像を投稿しました(2025.8.6)。