私は、中学生のころまであまり音楽を聴いていなくて、高校生になってから少しずついろいろな音楽を聴き始めました。最初は日本の「フォークソング」が好きになり、吉田拓郎(敬称略:以下同じ)、西岡たかし、斉藤哲夫、赤い鳥、猫などの曲をよく聴いていました。洋楽(海外の音楽)については少し遅れてから聴き始め、ロック、ジャズ、クラシック、フォルクローレなどいろいろなジャンルの音楽を聴くようになりました。

 今でもそうなのですが、ロックについては、「ローリングストーンズ」や「レッドツェッペリン」に代表される「ハードロック」はどうも体質的に(?)合わなくて、いまだにあまり聴きません。

 青年時代の私がロックの中で好きになったのは、いわゆる「ブラス・ロック」でした。ブラス・ロックは1960年代後半から1970年代前半にかけて流行した音楽で、ロックとジャズを融合し、トランペットやトロンボーンなどの金管楽器(ブラス)を前面に押し出した音楽性が特徴です。

 以下、ブラス・ロックの代表的なバンド「シカゴ(Chicago)」、「ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood,Sweat and Tears)」、「チェイス(Chase)」についてお話ししようと思います。また、日本の「スペクトラム(SPECTRUM)」というバンドについてもお話しさせてください。

 

《シカゴ(Chicago)》

 「シカゴ」は、1967年に結成され、1969年にアルバム「シカゴ・トランジット・オーソリティ」(The Chicago Transit Authority)でデビューしました。このアルバムはジャズ色が強く、また、実験的な曲なども入っていて、あまり一般受けはしなかったのではないかと思います。1970年にリリースされた2枚目のアルバム「シカゴと23の誓い」(Chicago)からシングルカットされた「長い夜」(25 Or 6 To 4)が大ヒットし、ブラスロックの代表的なバンドとなりました。

 

 

 このバンドは大変息の長いバンドで、長い歴史の中でメンバーの入れ替えはありましたが、2019年にも「ChicagoXXXⅦ(37):Chicago Christmas」(←原題)というアルバムをリリースしています。

 初期の頃のシカゴは、直線的なブラスのアンサンブルを前面に出していましたが、徐々にポップな要素を取り入れ、1977年にリリースした「シカゴⅪ」(Chicago Ⅺ)からシングルカットされた「朝もやの二人」(Baby,What A Big Surprise)は大ヒットしました。

 

 

 

 私は、個人的には、初期の直線的でパワーにあふれた演奏のシカゴが好きで、一番好きな曲を挙げるとすれば、デビューアルバムに収録されていた「イントロダクション」(Introduction)です。

 

 

ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood,Sweat and Tears)》

 「ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ」(長いので、以下「BS&T」と言います)は、1967年に「アル・クーパー」が中心となって結成されたバンドで、1968年にデビューアルバム「子供は人類の父である」(Child Is Father To The Man)をリリースしました。その後、主要メンバーであるアル・クーパーが「排除」され、バンドの音楽性は大きく変わります。ヴォーカルの「デヴィッド・クレイトン・トーマス」らが加入し、以後、ロックとジャズを融合させ、リズムセクションに重厚なホーンを加えたサウンドになり、人気を博するようになり、1969年にリリースされた2枚目のアルバム「血と汗と涙」(Blood,Sweat & Tears)は同年のグラミー賞の最優秀アルバムを受賞しています。

 BS&Tはバンドとしては短命に終わっており、1980年以降はアルバムをリリースしていません(解散したのか?)。

 誤解を恐れずに言えば、私は、2枚目のアルバム「血と汗と涙」以外のBS&Tを知りません。ただ、このアルバムは今聞いても本当に素晴らしいアルバムだと思っています。シカゴの「シカゴと23の誓い」と比べると、クラシック音楽の要素を曲に取り入れるなど都会的なセンスにあふれています(シカゴの悪口ではありません)。ブラスの演奏はシカゴと比べてシャープであり、また、デヴィッド・クレイトン・トーマスのヴォーカルが圧倒的です。この「血と汗と涙」というアルバムを残したことで、BS&Tの名はロック史上に永遠に刻まれると、私は思っています。

 

 

 

(以下次回→時期は未定)

 

※ Xに画像を投稿しました(2024.5.30)。

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