「レ・ミゼラブル」は、フランスの小説家「ヴィクトル・ユーゴー」(以下「ユーゴー」と言います)が書いた小説で、1862年に出版されました。

 この小説は、「フランス革命」(1789年~1795年)の頃をその時代背景としており、革命と政変で揺れ動くフランス社会の民衆の生活を背景として、主人公ジャン・ヴァルジャンの生涯を描いた大長編小説です。

 この小説が出版された当時、ユーゴーは、フランス第二帝政及びナポレオン三世を拒絶したため、祖国を追放されイギリス国王の私領であるガーンジー島というところで亡命生活を送っていました。この小説が発売された当日には長蛇の列ができ、その後も飛ぶように売れたとのことです。

 この小説は、世界中で読み継がれているのはもちろんですが、何度も映画化されており、また、ミュージカルはロングランを続けています。

 

 

 

 ミュージカルや映画のレ・ミゼラブルについては、私はそれほど詳しくないので、この稿ではお話ししません。今回は、小説のレ・ミゼラブルについてお話ししたいと思っています。

 私がこの小説に初めて接したのは小学生の時で、子供向けに翻案された「ああ無情」という小説でした。子供向けの「ああ無情」はいろいろな出版社から出版されており、私が小学生の時に、図書館で借りて読んだものは次のようなお話でした。

 ジャン・ヴァルジャンは、たった1個のパンを盗んだだけなのに、何十年も刑務所に入れられて、出所しても世間の人に冷たくされます。フラフラになって町を彷徨っていたところを親切なミリエル神父に助けられ、暖かい食事と一夜の宿を提供してもらいます。しかし、心がすさんでいたジャン・ヴァルジャンは、高価な銀の食器を盗んで逃げます。悪いことはできないもので、警官に眼を付けられ持ち物を調べられて、銀の食器を盗んだことを白状させられます。警官はジャン・ヴァルジャンをミリエル神父にところに連れて行き、銀の食器がなくなっていることを確かめます。その時ミリエル神父は「その食器は盗まれたのではなく、その方に差し上げたのですよ」と警官に言いました。ミリエル神父の暖かい心に打たれたジャン・ヴァルジャンは、その後大変な努力をして、ついにモントルーイ市の市長になりました。

 小学生の私は、「ふーん、世の中には本当に親切な人がいるんだな。改心して努力すれば偉い人になれるんだなー」と素直に感心していました。

 この「ああ無情」が「レ・ミゼラブル」の翻案で、物語としてはほんの導入部に過ぎないということを知ったのは、ずっと後のことです。

 次回は、私が持っている、岩波文庫の「レ・ミゼラブル」全4巻に沿って、この小説の素晴らしさについてお話ししたいと思っています。ただ、4巻合計で約2,500ページにもなる長大な小説について、どこまでその魅力をお話しできるか心もとない、というのが正直な気持ちです。

 

※ Xに画像を投稿しました(2024.3.27)。

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(次回に続く→時期は未定)