Vol.86【漫画 村上たかしの「星守る犬」①】の続きです。

 

 捨て犬だった「ハッピー」は、小学生の「みくちゃん」に拾われて、「お父さん」と「お母さん」とみくちゃんの3人家族の家の飼い犬になりました。

 

 あらすじの続きです。

 ハッピーを散歩に連れて行ってくれるのは、いつもお父さんです。散歩の時のお父さんは、家にいる時よりもおしゃべりです。お父さんがハッピーに言います。「お前がこうしてゆっくり散歩に連れて行ってもらえるのも、オレが会社からすぐ帰ってきて、こういう家の雑事をこなすからだぞ。感謝したまえ」。ハッピーは答えます。「はい、お父さん!」(言葉は話せませんが)。

 

 お母さんがお父さんに話しかけています。「近所の奥さんはみんなパートをやっているの。わたしもやってみようかなーって・・」。お父さんは、新聞から目を離さないで答えます。「んー、お前の思うようにすればいいさ。何かあったら何でも手伝うし」。しばしの沈黙の後、お母さんは答えます。「・・そう、ありがと」。

 ハッピーは思います。「すこしずつかわっていくこともあったけど やっぱりまいにちおかあさんがごはんをくれて みくちゃんがときどきあそんでくれて おとうさんがいつもさんぽにつれていってくれた」。

 

 お母さんがお父さんに話しかけています。「ほら、先月父が倒れてから大変らしいの、母も年だから。お兄さんとお姉さんが交代でみてくれてるけど、私の父でしょー、どうしたら・・」。

お父さんは、お母さんの話をさえぎって、爪を切っている顔を上げないで答えます。「お前の気がすむようにすればいいさー。なんでもフォローするし」。しばしの沈黙の後、お母さんは答えます。「・・そう。そうね、ありがと・・」。

 ハッピーは思います。「すこしずつすこしずつかわっていったら なんねんもすると ずいぶんとかわってしまう・・」。

 

 玄関のドアの前でお母さんの声がします。「ちょっと、みく!。こんな時間からどこ行くの!」。みくちゃんは大きくなっていて、髪は金髪で爪には派手なマニキュア、胸に蝶の入れ墨をして舌ピアスもしています。みくちゃんは、振り返りもしないで、お母さんに向かって中指を立てて行ってしまいました。

 お母さんがお父さんに言います。「一度お父さんからビシッと言ってやってよ!」。お父さんは鼻毛を抜きながら答えます。「大丈夫だって。ああゆう年頃なんだろ。ここは女同士おまえがうまくたのむよ」。「・・・」。お母さんは何も答えません。

 ハッピーは思います。「みくちゃんはほとんどあそんでくれなくなった ごはんもこのごろはおとうさんがくれることがおおい

 でもさんぽだけはいつもおとうさん」。

 

 お父さんがハッピーを散歩に連れて行くのは、前は夕方だったのに、この頃は昼間になっていました。途中で立ち寄るところも、「ハローワーク」や「山本循環器クリニック」になっていました。

 

 「えっ?!離婚?!」。お父さんは思わず大きな声が出てしまいました。「そ、そんな、藪からスティックに・・」(←「藪から棒」のオヤジギャグ)。お母さんは、離婚届の用紙を前に、淡々と話します。「冗談じゃなくて、本気で別れてほしいの。一緒にいたくないほど嫌いになったわけじゃないのよ。ただ・・持病を抱えて職を失ったあなたを支えて行くほどの強い思いが・・」。「ないの」。お父さんは答えます。「いや、でも・・夫婦ってのはこういう時こそ協力して・・」。

 「あなた。いつもみたいに『お前の思うようにしろ』って言って。・・もう相談したい時じゃない」(←なんと痛烈なしっぺ返しでしょう)。

 

(続く→時期は未定)

 

※ Xに画像を投稿しました(2024.1.7)。

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