Vol.57 【音楽 ウッドストック・フェスティバル②】の続きです。

 今回も、ウッドストック・フェスティバルに出演したミュージシャンの中で、私が衝撃を受けた人たちについて、「ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間」というドキュメンタリー映画(以下「この映画」と言います)に基づいて、個別にお話ししたいと思います。

 

 

【サンタナ】

 サンタナは、ギタリストのカルロス・サンタナをリーダーとするラテン・ロックバンドです。「ブラック・マジック・ウーマン」という大ヒット曲があり、ロック好きの人でこのバンドを知らない人はいないでしょう。カルロス・サンタナはメキシコ生まれで、バンドの音楽としては、強烈なドラムスとパーカッションのリズムにカルロス・サンタナの官能的なギターが絡みます(静かな曲もありますが)。

 「サンタナ」は、ウッドストック・フェスティバルで「ソウル・サクリファイス(

Soul Sacrifice)」という楽曲を演奏しています。この時の演奏は、サンタナの官能的でありまた激しいギターが素晴らしいことはもちろんですが、私が度肝を抜かれたのはドラムスの「ホセ・チェピート・アリアス」(以下「チェピート」と言います)のプレイでした。普通ロックのドラムスと言えば、エイトビートを刻みながら、ところどころに16ビートのオカズを入れるというようなイメージがあったのですが、小柄で童顔のチェピートがたたき出すリズムは、常時16ビートで、しかもそれがうねるような強烈なドライブ感を生んでいるのです。まるでドラムスでパーカッションをやっているようです。

 

 

スライ&ザ・ファミリー・ストーン

 「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」は、ウッドストック・フェスティバルで「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイアー(I Want to Take You Higher)」という楽曲を演奏し歌っているのですが、私はその映像を見て「なんだ、このアクの強さは!」と思い、眼が点になりました。このバンドの音楽は「ソウル・ミュージック」であると思うのですが、ソウル・ミュージックというと、私はそれまで「スタイリスティックス」や「シュープリームス」などの洗練された曲しか聞いたことがありませんでした。「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」の音楽に似ているものがあるとすれば、吉本新喜劇のコテコテのこれでもかというギャグでしょうか(全然説明になっていないです・・)。

 まず、リーダーの「スライ・ストーン」(黒人です)のいでたちが何と言ったらいいのか・・もみあげを頬まで伸ばして、頭はカーリーヘアです。大きな変なメガネをかけているのですが、その顔は「ソウル版の北島三郎」とでも言ったらいいのか・・・。その演奏はドカドカ響くドラムをバックに、まさに泥臭いソウル・ミュージックです。途中に「ウンラカラカラカ、ウンラカラ」という合いの手が入り、アフリカの匂いもします。

その後、私はこのバンドのアルバムを2枚買いました。

 

 

【ジミ・ヘンドリックス】

 ジミ・ヘンドリックスは、死去してから50年以上たった今でも、ロック史上最高のギタリストと呼ばれています。

 ジミ・ヘンドリックスはウッドストック・フェスティバルで何曲か演奏していますが、私は、その中でも「The Star-Spangled Banner」という曲の演奏に衝撃を受けました。この曲は、誰でも知っているアメリカ合衆国の国歌「星条旗」です。

 演奏が始まってしばらくは、よく知られているメロディを弾いています(少々ひずんでいますが)、途中から爆撃機が飛来し爆撃する音の連続になります。途中に逃げ惑う人々の叫び声も入ります。お気付きでしょうが、これは、ベトナム戦争の「北爆」での米国の爆撃機による攻撃を表わした「反戦歌」(歌ではありませんが)だと言われています。「エレキギターでここまでの表現ができるのか!」と戦慄した覚えがあります。

 

 

※ 「X」に画像を投稿しました(2024.1.6)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon