アメリカ映画の一つのジャンルに「ミュージカル」というものがあります。ストーリーの進行とともに、随所に歌が挿入されるという形の映画です。

 正直に言いますと、私はミュージカル映画にあまり魅かれません。名作と言われている「サウンド・オブ・ミュージック」や「ウェストサイド物語」などのミュージカル映画をいくつか見たことがあり、歌われている曲は素晴らしいと思うのですが、人物の描き方やストーリー展開などの面で、映画として面白いとは思えないのです(ミュージカル映画が好きな方には申し訳ありません)。

 ただ、「雨に唄えば」(SINGIN’ IN THE RAIN)というミュージカル映画は、本当に素晴らしい映画だと思っています。今回は、この映画についてお話ししたいと思います。

 「雨に唄えば」(SINGIN’ IN THE RAIN)は、1952年に米国で公開されたミュージカル映画で、ハリウッドを代表するミュージカル映画の傑作と言われています。主演(及び共同監督)はジーン・ケリーで、この人は多くのMGM映画に主演し、ハリウッドの黄金時代を築いた俳優です。主役の恋人役をデビー・レイノルズという女優が、相棒役をドナルド・オコナーという男優が演じています。

 舞台となるのは、まだ無声映画が主流ではあるがトーキー(声が出る映画)にその座を奪われつつある1927年の米国のハリウッドの映画界です。

 この映画についてお話しするために、久しぶりにこの映画を見た(DVDを持っているので)のですが、面白くて一気に見てしまいました。全編どこにも省略できる場面がなく、どのようにお話したらいいか困ってしまいます。あらすじを細かくお話ししても、この映画の魅力は伝わらないだろうと思うので、あらすじはごく骨子の部分のみとして、散漫にはなりますが、主として、私が感じているこの映画の魅力についてお話ししたいと思います。

 

 

 

 まずは、簡単にあらすじをお話しします(Wikipediaの記事を参考にさせていただきました)。

 サイレント映画全盛の時代、大俳優ドン・ロックウッドと大女優リナ・ラモントはドル箱の映画スターであり、大スター同士のカップルと、もてはやされていた。しかし実際は、リナが一方的にドンに惚れているだけで、ドンは、傲慢で性格が悪いリナのことを毛嫌いしていた。ある時、ドンは、ふとしたきっかけで知り合った駆け出しの女優キャシー・セルドンに一目ぼれし恋仲になる。

 そんな時、他社が制作した世界初のトーキー「ジャズ・シンガー」が大成功をおさめたことにより、ハリウッドにトーキーの波が押し寄せる。

 

 

 危機感を募らせた彼らの映画会社では、当時作りかけだったドン&リナのサイレント映画を無理矢理トーキーにすることに決定する。しかしながら、トーキーのノウハウを知らなかったことから、本当にお粗末な映画となり、映画の試写会は散散な結果に終わる。映画が公開される日が迫る。そんな映画を公開したら俳優人生が終わってしまうと焦燥するドンは、相棒のコズモ・ブラウンとキャシーの三人で話し合い、悩んだ末に、映画をミュージカルに作り替えることを思い立つ。あとはキンキン声のリナの声をどうするのかが問題だったが、コズモのアイデアで、この映画一本だけという条件付きで、キャシーがセリフも歌も全て吹き替えることになる。

 トーキーとして蘇った彼らの映画の完成披露試写会が開かれ、ドンとリナ(本当はキャシー)の歌声は観客から拍手喝采を浴びる。すると上映後のあいさつで、調子に乗ったリナは、自分のキンキン声でスピーチをしてしまう(傲慢なうえにバカなのです)。映画とは声が違うことを怪しんだ観客から、リナが生で歌うように迫られ、リナは「どうしよう!」と恐慌状態になる。ドンとコズモと社長は話し合い、キャシーに、リナの後ろのカーテンに隠れて歌うように命じる。一度限りと思っていたキャシーはショックを受け、ドンに「わかったわ。でもあなたとは二度と会わない」と言う。リナの背後でカーテンに隠れてキャシーが歌い、リナには歌っているフリをさせると、リナが歌っていると思っている観客は大喜びである。

 曲の途中で、ドンたちは笑いながらカーテンを開き、リナの後ろでキャシーが歌っていることを観客に見せてしまう(そういう策略だったのです)。観客たちは大爆笑である。嘘がバレたリナは、どこかに逃げてしまった。困惑したキャシーは、涙で濡れた顔を隠そうともしないで、客席の間を通り抜け、後ろのドアから外に出ようとする。その時ドンは客席に呼びかける。「その人を止めてください。本当のスターはその人キャシー・セルドンなんです!」。ドンの真意を知って、キャシーは涙に濡れた顔で微笑む。こうしてキャシーはスターの座を手に入れ、ドンとキャシーは結ばれるのです。

 

 

 今回はあらすじだけで終わってしまいました。

 

(次回に続く→時期は未定)

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2023.12.4)。

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