小説やテレビドラマや映画に「タイムトラベルもの」というジャンルがあります。

 小説では、一番古いものはH・G・ウェルズが1895年に発表した「タイムマシン」でしょう。この小説は、ある科学者がタイムマシンによって8万年後の未来に行く話です。それから、私の大好きな「夏への扉」があります。この小説は、ロバート・A・ハインラインが1956年に発表したタイムトラベルものの傑作で(Vol.16 【小説 夏への扉】を参照)、未来へは冷凍睡眠で、過去へはタイムマシンで旅するものです。また、日本には「マイナス・ゼロ」という傑作があります。この小説は、広瀬正という人が1970年に発表したもので、小説としてとても中身が濃く、タイムパラドックスを伏線にしたアッと驚く結末の小説です。半村良さんが1971年に発表し映画化もされた「戦国自衛隊」もタイムトラベルものですね。

 テレビドラマでは、米国で1966年から放映された「タイムトンネル」や、筒井康隆さんの「時をかける少女」を原作として1971年にNHKで放映された「タイムトラベラー」があります。2009年から2011年にかけて放映された、村上もとかさんの漫画が原作の「JIN -仁-」も、現代の脳外科医が江戸時代末期に行くというタイムトラベルものでしたね。

 映画ではどうでしょうか。あまり見かけないような気がします。H・G・ウェルズの小説「タイムマシン」は、1959年と2002年に映画化されています。また、「スタートレック」シリーズの第4作目「スタートレックⅣ 故郷への長い道」では、事情があってカーク船長たちが敵艦であるクリンゴン艦で1986年のロサンゼルスへ行く話でした。「ターミネーター」シリーズもタイムトラベルものですね。日本の映画にも、私が傑作と思っているタイムトラベルものがあります。2005年に公開された「ALWAYS三丁目の夕日」で一躍知られるようになった「山崎貴」監督が、2000年に製作した「ジュブナイル」と2002年に製作した「リターナー」です。特に「リターナー」はとてもよく出来たSFアクション娯楽映画で、「ET」や「ターミネーター」などの要素をうまく取り入れて、しかも独自の世界を作っているものです(この「リターナー」については、別の稿でお話ししたいと思っています)。

 

 

 

 そして、タイムトラベルものの映画の最大の傑作は「バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作」だと私は思っています。SFと限定しなくても、こんなに密度が濃く、手に汗を握るシーンや面白いシーンが満載で、ドラマとしての完成度が高く、そして何よりもエンタテインメントとして抜群に面白い映画を、私は他に知りません。

 この3作品の監督は全て「ロバート・ゼメキス」で、また、脚本は全てロバート・ゼメキスと「ボブ・ゲイル」という人の共同です。1985年にバック・トゥ・ザ・フューチャー」、1989年に「バック・トゥ・ザ・フューチャー PARTⅡ」、1990年に「バック・トゥ・ザ・フューチャー PARTⅢ」が公開されました。

 第1作のラストで、天才科学者のドクが未来から1985年に戻ってきて、エンディングに「TO BE CONTINUED」とデカデカと書いてあることから、公開前から続編を作る予定だったと思われますが、第1作の興行成績が良くなかったらどうするつもりだったんでしょうね。結果的には世界中で大ヒットしたんですが、製作陣はそれだけ自信があったということでしょうね。

 この3部作は、脚本が本当によく出来ていて、エンターテインメント映画のお手本のような映画です。独りよがりなところが全くなく、とにかく観客を楽しませることを最優先に作られていると思います。

 私はこの3部作を何度も見ています(DVDを持っているので)。次回は、私がこの3部作を見て、「これは面白いなあ」と思っていることについて具体的にお話ししたいと思います。

 

 

 

 

※ 「X」に画像を投稿しました(2023.9.21)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon

 

(以下次回→時期は未定)