Vol.77【映画 フランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生!」①】の続きです。引き続き、この映画のあらすじをお話しします。

 前回は、主人公であるジョージの少年時代のアルバイト先の店主ガウアーさんの息子が亡くなり、失意のガウアーさんが誤って劇薬をお客さんに届けるようジョージに命じたところまでお話ししました。

 ジョージは、このことについて父親に相談しようと思い、父親の会社「ベイリー住宅ローン」へと走ります。会社に着き事務室に駆け込むと、社員の人たちが緊張した顔をしています。悪辣な経営者のポッターが来ていて、どうやら「貸し付けた金を返済しろ」と言っているようです。ポッターは「ローンの貸付先に圧力をかけて金を出させろ」と言います。ジョージの父は「失業者が多く、それはできない」と反論します。さらにポッターは「ぐうたらどもに浪費する金はない」などとひどいことを言います。隅で聞いていたジョージは我慢できず「パパの悪口を言うな!」とポッターに詰め寄ります。父親はジョージを部屋の外に導き「家に帰ってから話そう」と言って、ジョージを帰らせます。

 結局ジョージは薬のことを父親に相談できず、そのまま薬局に帰ります。店に入ると、店主のガウアーさんが電話で誰かと話しています。「薬は1時間も前に届けさせているはずですが・・。はい、すぐに」。電話を切ると、ガウアーさんはジョージの胸倉をつかんで店の奥に連れて行くと、「薬は何処だ!言われたとおりにしろ!」と怒鳴りながら、ジョージの聞こえないほうの耳の辺りを何度も殴りつけます。ジョージは「耳をぶたないで!あなたは気が付いていないんだ、薬を入れ間違えたことを!中身は劇薬だよ!」と泣きながら訴えます。ガウアーさんは顔色を変え、ジョージが差し出した薬の包みを開き、ほんの少し指先に付けてなめてみます。ガウアーさんは「おお、ジョージ!」と言いながら、ひざまずきジョージを抱きしめます。ジョージは「誰にも言わないよ。あんなことがあったんだもの(ガウアーさんの息子が死んだこと)。取り乱して入れ間違えたんだ・・」とガウアーさんを慰めました。

 場面は変わり、青年になったジョージがかばん屋で店主と話しています。「いやいや、もっとデカいやつが欲しいんだ」とジョージは手を広げて言っています。ジョージは、高校を卒業してから何年もガウアーさんの店で働いてお金を貯め、いよいよ、世界各地を旅した(金がないので家畜を乗せる船に乗るようです)後に大学に行くために旅立つのです。将来は、建築家になって空港や超高層ビルを作るという大きな夢を持っています。

 ここで画面がストップモーションになります。大天使と二級天使のクラレンスが話している声がかぶさります。「よく顔を見るんだ」。「だれです?」。「ジョージ・ベイリー」。「ああ、薬屋に耳をぶたれた少年」。「そうだ」。

 店主が大きなトランクを台の上に出して「無料です」と言いました。ガウアーさんがプレゼントしてくれたのです。ジョージはすぐにお礼を言いにガウアーさんの店に行きました。

 ジョージの一家は、ジョージが旅立つ前夜、家族で食事をしていました。弟のハリーは高校を卒業して、今日は卒業記念のパーティーです。ジョージとハリーがふざけまわっていると母親がたしなめます。父親は「ハリーもお前と一緒に大学に行かせられたらな」と言っています。ジョージの家は家計が苦しいので、ジョージは4年間自分で働いてお金を貯めて、ようやく大学に行けるようになったようです。ジョージは「ハリーも僕の後に店で働いて学資を貯めればいい」と言いました。父親は「お前は大人だったが、ハリーは若すぎる(幼いという意味か?)」と言います。ジョージは、大学を出たら建築技師になって都市計画に携わる、という夢を持っています。

 さあ、待ちに待ったハリーの高校の卒業パーティーです。ジョージもOBとして参加しています。ここでジョージは、後に妻となる美しいメアリーと出会うことになります。

 

 

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2023.7.27)。

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