今回は、あの「ビートルズ」です。このようなビッグネームの人たちについて話す時にいつも思うのですが、「いったいどこから話せばいいのだろう」ということです。ただの解説にしたくないので、いつものように、私がビートルズに出会った頃のことからお話しようと思います。

 私とほぼ同年代の、坂崎幸之助さんなどのビートルズが大好きな人たちは、1966年にビートルズが来日し日本武道館で公演した時のことをよく覚えていると言っていますが、残念ながら、こどもだった私は全く関心がありませんでした。こどもの頃、私が聞いていた音楽は、テレビから流れてくる歌謡曲が中心で、洋楽といえば「ヘイ・ポーラ」などの大ヒット曲ぐらいで、「不良の音楽」だったロックなどは聞く機会がありませんでした。

 中学生になってラジオをよく聞くようになり、私はフォークソングに興味を持つようになったのですが、私が聞いていたラジオ番組ではビートルズの曲はあまりかからなかったように思います。私の中学生時代は1970年台の初頭で、ビートルズは1966年のサンフランシスコでのコンサートを最後に、コンサート活動をすでに終了し、スタジオでのアルバム制作に移行していました。

 高校生になって、井上陽水さんの「氷の世界」を聞いてから、徐々にいろいろな音楽を聴くようになりましたが、ビートルズの曲はあまり聞いたことがなかったので、とりあえずシングル盤(表と裏に1曲ずつ入ったレコード)を買ってみようと思い、当時はやっていたレット・イット・ビー(Let It Be)」を買いました。聴いてみましたが、正直言って「レット・イット・ビー」はそれほどいい曲とは思いませんでした。むしろ、裏面の「ユー・ノウ・マイ・ネーム(You Know My Name)」という冗談で作ったような曲のほうが気に入ってよく聞いていました。

 

 

 大学生になってからは、私は、日本のフォークソングが大好きになり、特に「斉藤哲夫」さん、「吉田拓郎」さん、「西岡たかし」さん、「荒井由美」さんなどのアルバムをよく聞いていて、また、徐々に外国のロックなどにも興味が出てきて、ブラスロックの「シカゴ」やどちらかというと泥臭いイメージの「ザ・バンド」などをよく聞いていました。

 本当にビートルズの音楽に興味を持ち出したのは、大学を卒業して就職してからです。1968年に製作された、「イエローサブマリン(Yellow Submarine)」というアニメ映画があります。このアニメ映画は、ビートルズの4人が主人公で、ブルー・ミーニーズという邪悪な種族により危機に陥った平和な国「ペパー・ランド」を、イエロー・サブマリンに乗って来た4人が、音楽と愛で救うという物語です。

 こどもの頃からアニメが好きだった私は、「へえ、ビートルズのアニメってどんなものだろう」と興味が沸き、貸しビデオ屋さんで借りてきて見てみました。この映画はシュールでサイケな(古いですね)作風で、とても面白いものでした。この映画には、随所にビートルズの曲がちりばめられていて、私は、特に、「エリナー・リグビー(Eleanor Rigby)」に衝撃を受けました。孤独な人々を描く映像とともに流れるこの曲を聴いて、「これがロックなのか」と思いました。

 

 

 すぐに、この映画のサントラ盤の「Yellow Submarine(イエロー・サブマリン)」(1969年→リリースされた年:以下同じ)、「エリナー・リグビー」が収録されているアルバム「Revolver(リボルバー)」(1969年)を買ってきて聞いてみました。サントラ盤のほうは、半分がジョージ・マーティンが作曲したオーケストラの曲で占められ、ビートルズの曲もたいした曲が収録されていなかったのでがっかりしました。「リボルバー」については、収録されているすべての曲をすぐに好きになったわけではないですが、今まで聞いたことがない演奏と歌が繰り広げられていました。エリナー・リグビー以外では、メローな曲調の「Here,There and Everywhere(ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア)」やソリッドな演奏の「And Your Bird Can Sing(アンド・ユア・バード・キャン・シング)」がすぐに好きになりました。その後、何回も聞き込んでいるうちに「これは素晴らしいアルバムだ」と思うようになりました。

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2023.1.25)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon

 

(次回に続く→時期は未定)