「あしたのジョー」は、原作:「高森朝雄」(「梶原一騎」の別名)、作画:「ちばてつや」(敬称:略)によるボクシングをテーマにした漫画です。「週刊少年マガジン」に1968年1月1日号から1973年5月13日号まで掲載されました。
また、この漫画は、虫プロダクションによりテレビアニメになり、1970年4月1日から1971年9月29日まで放映されました。
思春期に差し掛かっていた私は、友達とともにこの漫画とアニメに熱狂しました。私の中では、この漫画とテレビアニメが混在しています。
ふらりと東京の山谷のドヤ街に現れた「矢吹丈」(以下「ジョー」と言います)が主人公です。このドヤ街で、元プロボクサーであるが今は酒浸りになっている中年男「丹下段平」(以下「段平」と言います)と運命的な出会いをします。ある時、ジョーは、酒に酔って絡んでくる段平を、しなやかな動きと目にも止まらぬ膝蹴りで倒します。ジョーの天性のボクシングのセンスに驚嘆し、「こいつにボクシングを教え込んだら、一流のボクサーになる」と思った段平は、酒をぴたりと止め真面目に働き出し、ジョーにボクシングを教え込もうとします。ジョーは、そんな段平の情熱に対して、表面上は従うふりをしながら、心の中では鼻で笑い、小遣いをもらいながら、ドヤ街の子供たちを引き連れて暴れまわり、最後には犯罪にも手を染め(どのような犯罪だったか記憶にありません)、警察に逮捕されて少年鑑別所に送られることになります。
少年鑑別所で時間を持て余していたジョーのもとへ、段平から、下手な字で「あしたのためにその1」と書いてあるはがきが届きます。「ジャブ 肘を左脇の下から離さぬ心構えで、やや内側を狙い、えぐり込むように打つべし」と書いてあります。試しにその通りにやってみると、明らかにパンチが鋭くなっています。ジョーは「打つべし!打つべし!」と夢中になって練習します。私も、友達と「打つべし!打つべし!」とやっていました。
そんなある日、少年鑑別所の大部屋のボスである巨漢「西寛一」(以下「西」と言います)から目を付けられたジョーは凄絶なリンチを受けますが、その最中に「あしたのためにその1」を思い出し、西に強烈なパンチを浴びせ圧倒的な勝利をおさめます。しかし、この暴力沙汰が明るみになり、ジョーと西は特等少年院に送られます。
特等少年院に入ったジョーは、先輩たちの嫌がらせで豚小屋の掃除をやらされますが、わざと豚を暴れさせて暴走させ、豚の背中に乗って少年院の門に向かいます。「走れ、走れ!」と有頂天になったジョーの前に一人の男が現れます。「力石徹」(以下「力石」と言います)です。力石はウェルター級の天才ボクサーでしたが、ヤジを飛ばした観客を殴って負傷させたため、特等少年院送りになった男です。アニメ版の、この力石の登場シーンがかっこよかった。「力石徹のテーマ」の音楽をバックに、はるか向こうから、自転車をゆっくりこいで力石が近づいてきます。やおら自転車を乗り捨てた力石は、突進してくる豚の大群の間を華麗なフットワークですり抜け、ジョーがまたがっている豚の鼻面にものすごいパンチを打ち込みます。豚はもんどりうって倒れ、ジョーは投げ出されます。「もう少しだったのに、この野郎!」とジョーは力石に向かっていきます。練習を積んだジョーのジャブが力石の顔面にさく裂します。しかしそこまででした。ジョーはまだジャブ以外のパンチの打ち方は知らないので、その後の大振りのパンチは全て力石に避けられ、力石のパンチで倒されてしまいます。力石はつぶやきます。「最初のジャブはプロ並みなのに、その後はまるでど素人だ。おかしな男だ」。
※ ツイッターに画像を投稿しました(2022.11.19)。
https://twitter.com/sasurai_hiropon
(次回に続く→時期は未定)