Vol.20【漫画 「三丁目の夕日 夕焼けの詩」①】の続きです。

 2005年に公開された映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は大ヒットし、当時の映画賞を総ナメにしました。この映画の原作は、西岸良平さん(以下「西岸さん」と言います)が描いた漫画「夕焼けの詩 三丁目の夕日」です。

 私は、この漫画が大好きで、何十回も読み返し、何十年も愛読しています。皆さんは、この漫画について、どのような印象を持っていますか?古き良き昭和の時代を舞台とする、ほのぼのとしたサザエさんのような漫画、でしょうか?

 西岸さんの絵柄は、大変優しく親しみやすいものです。しかし、初期の作品である「夢野平四郎の青春」などを見ると、よく知られている西岸さんの絵柄とは全く違い、かなりシニカルなものです。今の絵柄は、単純で、いわゆる「ヘタうま」的な表現ですが、実は、よく練られて作り出されたものではないかと思います。

 また、ストーリーについては、誰でも親しみやすい、暖かい雰囲気を醸し出していますが、実は、大変奥が深いストーリーが多いと思います。毎回12ページ(多少増減します)の一話完結となっていますが、どの話も、テレビドラマにすれば、ゆうに1時間(膨らませれば2時間)のドラマになるぐらいの、多彩で中身が濃い内容となっています。この漫画は、ほのぼのと同じような話をなんとなく描いているのではないと思っています。

 私の個人的な意見ですが、西岸さんは、映画の脚本やテレビドラマのシナリオを描いても、素晴らしい作品を創造できる力をお持ちになっていると思います。もしその道に進まれていたなら、その道でもきっと高い評価を受けたでしょう。

しかし、西岸さんの漫画の、柔らかな画風と多彩なストーリーによって、暖かく、ユーモアがあり、また、時に残酷な人生を切り取る作風こそが、西岸良平さんの漫画であるし、漫画だからこそ表現できたのではないかと思っています。

 私は、この漫画の単行本を60巻ぐらい持っています。どの巻にも力作がぎっしり詰まっていて、選ぶのに苦労しますが、その中から、私がとても好きな作品をランダムにご紹介したいと思っています。

 ちなみに、第1巻については、副題が「プロフェッショナル列伝」となっていて、西岸さんがプロデビューした後、いわゆる「ヘタうま」の画風の「三丁目の夕日」を描き始めるまでにビッグコミックオリジナルに掲載された作品を集めた巻になっています。西岸さんが、まだ「ヘタうま」の画風を試行錯誤をしている段階の作品群であり、ご紹介したい作品がないのが残念です・・。

 第2巻以降の作品について、次回(時期は未定)からランダムに紹介していきたいと思います。

 

(以下次回→時期は未定)