私は、この漫画を読み返すたびに泣いてしまいます。このような一見残酷な内容に見えて、実は感動的な内容である漫画を、私はあまり見たことがありません。

 全3巻の漫画です。アオリの文句は次のとおりです。

 第1巻:

「突然、親父が帰って来た。でかい、怖い、むさ苦しい・・三拍子揃った親父が16年ぶりに帰って来た。不在の間に娘は暴力団員の妻となり、息子は不良の道に足を踏み入れていた。無力な母親がただオロオロするだけの荒涼たる熊田家に突然、親父が帰って来たのだ。」

 第2巻:

「霊長類最強の牡、親父・・その日、親父の心に“愛”が生まれた。妻はかつて小料理屋を開いていた。場末の小さな店だ。20年前の雪の晩、ふらりと一人の男が現れた。まるで熊のような巨きな男だった。いかつい外見に似合わずなんともいえぬ味のある飲みっぷりだった。その時、二人の心に愛が育ち始めていた。」

 第3巻:

「親父は強くなければ生きられない。優しくなければ生きている資格がない。」

 

 16年前に家族を捨てて突然いなくなった親父が、なぜ帰ってきたのか。そして、何をしようとするのか。読み進むうちに次第に明らかになります。第1巻目だけ読むと、ヤクザの暴力親父が帰ってきて家族が迷惑するという漫画に見えますが、第2巻目、第3巻目と読み進むにしたがって、想像もしなかった親父の姿が明らかになります。

 作者のもりやまつる(別名義:守山鶴)さんは、1986年の講談社「ちばてつや賞」においてヤング部門優秀新人賞を受賞し、受賞作を改題した「ファンキー・モンキー・ティーチャー」が週刊ヤングマガジンに掲載され、そのまま連載となりました。この作品は映画化されシリーズになるなど、好評を博しました。

 「親父」はビッグコミックスペリオールに連載された作品で、2000年に第1巻目が出版されました。

 次回はあらすじを話させていただきます。ネタバレとなりますのでよろしくお願いします。

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2022.8.25)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon

 

(続く→不定期)