私がこどもの頃、映画館で最初に見たアニメ作品は何だったろうと考えると、それはディズニーの「101匹わんちゃん大行進」(1961年公開)だったろうか、それとも、東映動画の「西遊記」((1960年公開)だったろうかと迷っていました。

 私は1956年(昭和31年)生まれなので、「101匹わんちゃん大行進」と「西遊記」が公開された時にはまだ5~6歳の頃です。私の記憶の中では、「101匹わんちゃん大行進」については、「白黒まだらのたくさんの子犬と怖いおばさんが出ていたな」ぐらいの記憶しかありません。しかし、「西遊記」については、孫悟空の恋人のリンリンが歌っていた悲しい歌を鮮明に(部分的にですが)覚えているのです。

 今回このブログを書くに当たって、Wikipediaなどでいろいろ調べているうちに疑問が解決しました。「西遊記」は1964年3月にリバイバル上映されていて、1964年なら私は8歳ですので、歌を覚えていても不思議ではありません。たぶん、私は、この時に「西遊記」を見たんだと思います。

 前置きが長くなりました。申し訳ありません。

 1956年(昭和31年)8月に「東映動画株式会社」(以下「東映動画」と言います)が発足しました。現在も世界中から評価されている日本の「アニメ」は、ここから始まったと言っても過言ではないと思います。

 発足から4か月後の1956年(昭和31年)12月に、東映東京撮影所に隣接してスタジオが完成し、日本におけるアニメーションの製作が本格的に開始されました。そのスタッフの第一期生の中には、大塚康生さん(初期の「ルパン三世」や「未来少年コナン」が有名)や楠部大吉郎さん(「巨人の星」が有名)などがいたそうです。

 ちなみに、1958年から手塚治虫氏が西遊記の製作のために嘱託として参加しており、この時のノウハウが、後に「鉄腕アトム」を生み出した虫プロダクションで生かされており、また、「日本映画界のドン」と呼ばれている岡田茂氏は、「東映が日本のアニメーターを養成したようなものだ」と述べておられるそうです。

 東映動画は、1958年に劇場用長編アニメーション「白蛇伝」を完成させます。この作品は、ディズニーを模倣したものなどではなく、東洋的な美しさに満ちた素晴らしい作品です。その後、「少年猿飛佐助」(1959年)、「西遊記」(1960年)、「安寿と厨子王丸」(1961年)と、毎年、東洋的なテイストに満ちた新作を公開していきます。

 

 

 その後も、「アラビアンナイト・シンドバットの冒険」、「わんぱく王子の大蛇退治」などの長編アニメーションを毎年公開していきますが、1963年に、虫プロダクションが制作したテレビアニメ「鉄腕アトム」が爆発的にヒットし、東映動画も、その軸足を徐々にテレビアニメに移していくことになります。東映動画が公開する劇場用アニメも、徐々に、テレビアニメで人気が出た作品(「宇宙戦艦ヤマト」、「ゲゲゲの鬼太郎」、「キン肉マン」など)を劇場用にアレンジして製作したものが多くなっていきます。

 ただ、私としては、東映動画の劇場用アニメとして、「太陽の王子 ホルスの大冒険」については、どうしても話したいと思っています。

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2022.6.15)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon

 

(以下次回→時期は未定)