「ゼブラーマン」は、2004年2月に公開された日本のヒーロー物の映画です。監督は三池崇史さん脚本は宮藤官九郎さん、主演は哀川翔さんです。

 私は、公開時にはこの作品を見ておらず、だいぶ後になってレンタルビデオで見て、結局DVDを買って、更に、この映画のメイキング映像を集めた「白黒つけた男たち」というDVDも買ってしまいました。要するに「ハマってしまった」ということです。

 ゼブラーマンの公開の2年前ですが、2002年にテレビで「木更津キャッツアイ」というドラマが放映されました。私はあまりテレビドラマは見ないので、このドラマも見ていなかったんですが、当時から、面白いという評判を聞いていて、2003年に映画「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」が公開され、しばらくしてレンタルビデオになったとき、何か気になって、借りて見ました。テレビドラマを見ていないので、人物設定などは分からなかったのですが、ストーリーの展開がスピーディで、こういう言い方は失礼なのですが、とにかくくだらないことを一生懸命やっていて、「この脚本を書いた宮藤官九郎という人は面白いものを書くな」と思いました。

 次の年にゼブラーマンが公開されました。監督の三池崇史さんのことはよく知らなかったんですが、脚本は宮藤官九郎さん、主演は哀川翔さんということで、「ひょっとして面白いのかな、しかしヒーロー物なの?」と思い、結局劇場では見ることはなく、レンタルビデオで見たわけです。

 話は逸れますが、私は、NHKの朝ドラの「あまちゃん」が大好きで、かかさず見ていました。このドラマの脚本は宮藤官九郎さんで、宮藤官九郎さんの脚本は、中心となるプロットはしっかりしており安心して見ていられるのですが、展開がちょっとずれていて、そこが本当に面白いと思います。また、細部にわたりちりばめられている変なギャグも好きです。

 ゼブラーマンは、監督、脚本、俳優陣が全て癖のある人たちで、だからこんな変な映画を作ることができたんではないかと思います。「変な」というのは誉め言葉です。なにか妙なシーンが多くて、「何だこりゃ」と思う人も多いでしょう。ただ、私は「そこがいいんだ」と思っています。防衛省の特命チームが乗っている車の名前が「チロリアン2号」ですからね。

 哀川翔さんが演じる主人公市川新市(以下「新市」と言います)は小学校の先生ですが、奥さんは不倫、高校生の娘は援助交際、小学生の息子は学校でイジメにあっており、当の新市も、生徒から「暗い、おもしろくない」とバカにされています。そんな新市の唯一の息抜きは、子どもの頃に憧れたテレビのヒーロー「ゼブラーマン」のコスプレです。情けないです。しかし、実は、本人は気づいていないのですが、新市こそが本物のゼブラーマンであり、ボロボロになりながらも世界の危機を救うことになります。

 中身が濃すぎて書ききれません。とにかく、ショボくて面白い場面が満載です。私は、ラストシーンに感動しました。俳優陣は手抜きせず全力で演じています。鈴木京香さんがコスプレする「ゼブラナース」も必見です。