実写版の「忍者ハットリくん」は、1966年4月から同年9月まで放映されていた、こども向けのテレビドラマです。また、続編の「忍者ハットリくん + 忍者怪獣ジッポウ」が1967年8月から1968年1月まで放映されました。若い方は、その後2回放映されたアニメ版のほうを知っている方も多いと思います。

 今は、子供向けのテレビ番組はアニメが主流で、実写の子供向け番組はあまりないように思います(仮面ライダーとウルトラマンは例外として)が、1963年1月に鉄腕アトムの放映が開始されるまでは、子供向けのテレビ番組は実写のものしかなく、私も、ナショナルキッドや少年ジェットなどの番組をよく見ていました。鉄腕アトムが大ヒットして、子供番組は急速にアニメが主流になっていくのですが、私の小学生の頃は、まだまだ実写のこども番組も多く、「忍者ハットリくん」以外にも、「忍者部隊月光」、「怪獣ブースカ」、「仮面の忍者赤影」、「レインボーマン」など面白い番組がいくつもありました。

 実写版の「忍者ハットリくん」は、藤子不二雄Ⓐさんが漫画雑誌「少年」(光文社発行)に1964年から1968年まで連載していた漫画が原作です。私の友達が毎月「少年」を買っていて、私は「少年画報」(「マグマ大使」が好きでした)を買っていたので、毎月交換して読んでいました。忍者ハットリくんは、その後、「コロコロコミック」、「てれびくん」、小学館の学年別学習雑誌(以上、小学館発行)で連載されたようですね。

 実写版の忍者ハットリくんについてです。主人公のハットリ君は伊賀の忍者で(忍者には伊賀、甲賀、風魔がありました)修行のために下界に降りてきて、たまたま知り合ったケン一くんの家に居候します。ハットリ君の役者さんはお面をかぶっていました。

 私は、このドラマについて、「ズンズンズンパラリン~」という主題歌のところはよく覚えているんですが、ドラマの内容は断片的にしか覚えてなかったので、YouTubeで検索してみたら、第1回のものがアップされていました。それで、さっそく見てみました。よくできています。最初のオープニングのところを見てみると、製作したのは「東映京都」となっているので、歴史ある東映京都撮影所(通称「太秦(うずまさ)撮影所」)が製作したようです。ドラマ部分も殺陣もアクションシーンもすばらしい出来だと思います。また、ハットリくんのお面は表情が動かないと記憶していたんですが、目や口が動くのでびっくりしました。芸が細かい。

 脚本は「服部半蔵」となっているので調べてみましたら、井上ひさしさんと山元護久さんの共同執筆名義だということが分かりました。このお二人は、大人気だったNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」の原作者です。

 登場人物の中に、「ケムマキけんゾウ」というこどもがいて、大人の前では良い子のふりをしているんですが、本当は非常に腹黒いという設定で、裏の顔の場面になると顔にどす黒いメーキャップをして出てきて、こども心にも嫌な奴だなと思っていました。この役は、若いころの杉良太郎さんがやっていたといううわさが流れていて、私もすっかり信じていたんですが、どうやらデマのようです。

 ケン一とケムマキの小学校の担任の先生は「花岡実太(はなおか じった)」という名前で、谷村昌彦さんという方が演じていたんですが、よく覚えている場面がありまして、生徒はこの先生のことをからかって「鼻を、かじった」と呼ぶんですが、すると先生は「鼻をかじったではねえ、わしは、はなおか・じっただ!」とムキになって言い返すという場面です。