130209_185246.jpg


冒頭の写真は「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」という本です。なお、タイトルは10年前のアメリカ映画からとりました。

この本は、「北総線値下げ裁判の会」が編纂したものですが、この本は実は裁判の内容にはほとんど触れられておらず、裁判を起こすに至った経緯、わけても「なぜここまで北総線の運賃は高いのか、高い運賃に合理性がないのではないか」を紐解いていこうという本です。
そして、その「高い運賃に合理性ありや」を紐解いていくと、高運賃の理由が明らかになっていきます。身も蓋もない言い方をしてしまえば、北総線は「借金漬けにされて売られた遊女」ともいうべきもので、北総の収益を親会社の京成が大半を吸い上げ、他方でスカイアクセス運営に伴う線路使用料(京成高砂-印旛日本医大間は京成が第2種免許を持っており、京成はこの区間の線路使用料を、京成高砂-小室間で線路を保有している北総と、小室-印旛日本医大間で線路を保有している千葉ニュータウン鉄道に、それぞれ支払わなければならない)を、きちんと支払っていないようなのです。そりゃ、線路使用料を十分に支払っていれば、あそこまでの高運賃にはならないはずですね。

実はこの本、北総線沿線の書店等にしか置いておらず、amazonでも取り扱いがないそうなのです。
ということは現地で買うしかないのですが、どうせこのような本を買うなら、現地の実情も見ておいたほうがよかろうと思い、現地の視察も兼ねて北総線白井駅に出向きました。

家からは渋谷経由(東横線渋谷駅の様子を見るため)半蔵門線で押上まで。押上から京成で向かいます。
押上駅の運賃表がこちら↓


130209_144726.jpg
わかります?

押上から白井まで

京成(押上-京成高砂) 180円
北総(京成高砂-白井) 650円


830円ですよ!


830円もあれば、JRでもかなり遠くまで行けますよね(^^;

とりあえず、気を取り直してアクセス特急へ。これで新鎌ヶ谷まで行きます。
新鎌ヶ谷では、同じ京急車の各駅停車が待っていてくれました。


130209_152551_ed.jpg
京急の駅ではない

京急1000形ステンレス車を使用したアクセス特急には、成田空港へ向かうと思われる大荷物を持った人がいましたが、それでも座席がさらりと埋まるくらいの乗り。これに対して京急1500形の各駅停車はがら空きでした。

白井駅に到着。


130209_154643_ed.jpg
現在工事中

ここもマンションや団地が建ち並んでいますので、さぞかし大きな需要があるのだろうと思いますが、管理人が訪れたときは人影はまばらでした。土曜の午後から夕方にかけての時間だから、というのもあるとは思いますが。

白井駅前に停車中のバス↓


130209_155623_ed.jpg
このバスは西船橋へつながっている

このバスの向こう側にある(写真には写っていない)でこの本を買い求め、その後16時発の西船橋行きのバスに乗り、千葉ニュータウンを脱出しました。

では、この本の感想を。
あまり本の内容を詳述することは、ネタバレになってしまいますのでやめますが、千葉ニュータウンの開発計画が当初の目論見と大きく異なっていた(計画では34万人、平成23年3月時点の人口は90684人)ことは情状酌量の余地があるとしても、これほどまでの高運賃には合理性がないといわざるを得ない。管理人はそのように思いました。
この本の表紙には、スカイライナーと思しき列車を北総線の列車と沿線住民が支える絵が描かれていますが、まさにそのような図式で北総線の高運賃構造が支えられているというわけです。
当ブログと相互リンクさせていただいているあるブログの管理人様は、北総線沿線のことを「北総監獄」と形容しておられますが、その是非はともかくそう言いたくなる理由は分かるような気がしました。

それにしても。
前々経営者の横領事件が尾を引き、自主再建断念に追い込まれた鉄道会社が同じ県に存在する一方で、このような理不尽な高運賃を維持する会社もある。そして京成と北総の関係はまさに「不都合な真実」。沿線住民のためには、いずれこのような「不都合な真実」を白日の下に引っ張り出さなければ、先には進めないのではないか。そのように思いました。

【取材日 平成25年2月9日】