毎週火曜日更新を標榜しておきながら、守れなくて申し訳ありません。
来週は火曜日に更新しますので…m(__)m

15年前の平成9(1997)年、長野までの部分開業を果たした北陸新幹線。
現在は長野から先、金沢までの工事が進められており、再来年の平成26(2014)年度に開業するとアナウンスされております。
これでようやく、路線の正式名称「北陸新幹線」の「名が体を表す」ことになるわけですが、延伸開業に際しては、以下の問題があります。

1 「上越」駅の開業と上越新幹線の呼称問題
2 路線の運営主体は? 複数の場合境界駅は?
3 新型車両E7系について(E2系の老朽化)

です。
実はこの連載を始める当初、E7系の製造がマスコミからアナウンスされたことで、この車両の予想されるスペックを取り上げようと思ったのですが、いかんせん続報がないため、この話題は最後に取り上げることにします。そこで、前記1・2を取り上げましょう。

まず「上越」駅(仮称)ですが、この駅は「上越市」内に設けられる駅で、上越市内にある既存の駅とは独立した形態となります(ただし、信越線脇野田駅が至近距離に存在するため、この駅と統合する計画もあるらしい)。
今のところ、上越市の玄関口としては高田駅や直江津駅がありますが、まさかこれらの駅の名を冠するわけにはいかないでしょう。上越市自体複数の市が合併して出来上がった市であり、合併前の市の旧名称を冠することになると、様々な軋轢が予想されるからです。
そうなると、「上越」駅とか「上杉謙信」駅とか、そういった抽象的な名称にするしかないのでしょう。最終的にどういう名称になるのか、純粋な意味で興味がありますが。
そして今度は、新幹線開業により、「正真正銘『上越市』へ向かう新幹線」が登場することになり、既存の「上越新幹線」(←これが偽物という意味ではありませんよ)との関係が問題になります。かたや「上越新幹線」、こなた「上越市へ『行く』新幹線」。誤乗や誤案内が発生する危険性もあります。
そのため、「上越新幹線」の名称変更、具体的には路線名称を新たに冠することが行われるのではないかと思われます(『上越新幹線』は大宮-新潟間の路線の正式名称であり、おいそれとは変えられない)。北陸新幹線開業後は「上越新幹線」とは言わなくなって、「新潟新幹線」とかになるんでしょうか。

それと、路線の運営主体がどうなるかという問題があります。在来線だと長野→直江津→糸魚川方面へは、直江津駅がJR東日本とJR西日本の境界駅となります。在来線に倣うとすれば、当然「上越」駅が境界駅となり、「上越」~金沢間はJR西日本ですよね。
もちろん、新幹線の会社境界が在来線に完全に準拠しているわけではないのは、皆様ご存知のとおりですから、金沢までJR東日本の運営というのもあり得ますが、収益の柱が欲しいJR西日本が、「対東京」という高収益が見込める路線を、むざむざJR他社に渡すとは思えません。であれば「上越」~金沢間はJR西日本の管轄となるのではなかろうかと。
それよりも頭が痛いのは、新幹線が金沢まで開業すると、大阪・名古屋-富山間を結ぶ「サンダーバード」「しらさぎ」が金沢折り返しになってしまうこと(金沢以東は第三セクターに転換されるため)。少なくとも、富山までは在来線ともどもJR西日本が管轄した方がいいのではないかと思いますが…。
ただ、もし「上越」で会社境界が分かたれるとするなら、むしろ本当の問題は、特急料金やグリーン料金の計算方法がどうなるかということでしょう。国鉄時代であれば間違いなく通算でしたが、昨年開業した九州新幹線では、特急料金・グリーン料金は博多を境に分断して計算する(九州新幹線内は独自の料金設定)ことになっていますので、将来の北海道新幹線の事例と合わせ、こちらの事例に倣って分断計算・単純加算になるのかもしれません。しかしそうすると、料金が高くなりすぎ、航空機との競争がどうなるのかという問題があります。全日空(ANA)などは、会社トップが新幹線開業後に東京-北陸間の路線から撤退することを示唆する談話を出したことがありますが、料金が高額になると、東京-秋田間のように航空機との競争関係が残る可能性もあります。

そして最後には、金沢開業時には間違いなく投入されるであろう新型車両「E7系」のこと。
既に長野開業から15年が経過し、そこで活躍を続けてきたE2系も同じくらいの経年に達しますが、問題は長野新幹線が急勾配のある過酷なルートであることから、走行距離以上に酷使によるダメージが蓄積しているのではないかと思われることです。
そこで新車投入が確実視されるわけですが、「E7系」の話は一部メディアがフライング気味に取り上げただけで、その後JR東日本からのアナウンスもありませんし、その他の続報もありません。噂によれば、現在の「はやぶさ」用E5系に急勾配と複数周波数対策を施した車両になるとのことですが、これとて噂の域は出ておらず、本当のところはわかりません。ただ、東京-金沢間の開業後の所要時間は2時間半くらいといわれており、だとするとグランクラスは商売にならないような気がしますが…。

以上が1ないし3の問題点ですが、以上とは別に、列車名がどうなるのかという問題もあります。まさか「あさま」が富山や金沢を目指すわけはないでしょうから。現行の「あさま」は長野までの列車となり、富山・金沢方面は別の列車名が冠せられるのでしょう。
この話題は既に当連載の記事のコメント欄で取り上げられたことがありますが、最も有力と思われるのは「はくたか」です。これは越後湯沢発着で上越新幹線と接続し金沢方面を目指す列車であり、実質的に「対東京」の列車であることから、金沢や富山から東京へ向かう列車としては、この名前が一番ふさわしいと思われます。
ここで北陸の名特急「雷鳥(らいちょう)」を推す声もありましょうが、「雷鳥」は対大阪のイメージが強すぎ、対東京の列車には使えないのではないかと思います。しかし、最近のJR東日本の列車名選定は、一般マスコミや鉄道趣味界の予想の「斜め上」を行っていることが多いこと、JR西日本の幹部が「『雷鳥』の名前はいずれどこかで使いたい」と発言していることから(485系『雷鳥』のさよならイベント時の発言)、「雷鳥」登場の可能性もゼロではありません。管理人は、新幹線の列車名としては初となる漢字の愛称「雷鳥」を、東京駅や大宮駅で見てみたい気もしますが。

泣いても笑ってもあと2年。
新幹線開業によって、長野・北陸の鉄道がどう変わるのか、そのあたりにも注目していきたいと思います。

※ 当記事は08/28付の投稿とします。