アシュリーちゃん、逝く
難病「プロジェリア(早老症)」の患者として知られた、カナダのアシュリー・へギさんが亡くなったと、先月下旬にネットで知った。あと少しで18歳でした。そして昨日、追悼番組「サイエンス・ミステリー」も放送されました。
「ハッチソン・ギルフォード・プロジェリア症候群」は、通常の約10倍の速さで老化が進行し、平均寿命が13歳と言われます。アシュリーちゃんも、生まれて間もなく毛が抜け、皮膚は固く乾燥し、体も老人特有の病や痛みに悩まされていたようです。
しかし本人は、泣き事はもちろん辛い素振りさえ一切見せず、病気をも前向きに受け止める。常に明るくポジティブな言動で、私達視聴者が励まされました。限界の体の中で、何とか高校を続けようろする姿勢、ペットショップでのアルバイト、弟や妹を可愛がり本を読み聞かせる姿など、一生懸命さと優しさに溢れていました。
動物が好きで様々な動物を飼っていましたが、枝にそっくりの昆虫「ナナフシ」まで飼うなど、好奇心一杯な様子も個人的には面白いと思いました。
日本では「プロジェリア」という症状を知るきっかけとなった人物であり、更に彼女の姿勢に感動した人は多く、メールや手紙によって彼女も日本には好意的に感じていたようです。
プロジェリアの中では最高齢とはいえ、やはり、こんなに若くして亡くなってしまうのは本当に寂しい。でも、彼女の性格を考えたら、その「死」をマイナスととらえず明るく見送ってあげよう。どうかまた生まれ変わって来て欲しい。それまで、おやすみなさい!
ちなみに、プロジェリアの原因は「スプライシング変異」によるものだそうです。
タンパク質合成の際に、遺伝子の本体であるDNAの情報が写し取られ(転写)、RNAが出来ます。そのRNAには、タンパク質合成に関わる「エキソン」と関与しない「イントロン」と呼ばれる部分があり、イントロンは除かれます。この過程を「スプライシング」と言い、こうして出来たmRNAが、アミノ酸に翻訳されてタンパク質が合成されます。
http://www.biological-j.net/blog/2008/08/000535.html
プロジェリアでは、遺伝子の暗号となる塩基が1つ変異する事により、余計なスプライシング(変異の起こった付近のエキソンまで除かれてしまう)が起きてしまうとの事。
なので正直、この症状を受けて生まれてしまった以上「治す」のは難しいのではと考えます。
ただ、当事者の子供達の苦痛が少しでも減るような治療の発見と、よく言われる「老化のメカニズムの解明」が叶う事を願います。
【社会ニュース 】 2009/04/23(木) 08:49
通常の人に比べ約10倍の速度で老化が進む難病と戦っていたカナダの少女が、天国に召されたとニュースで伝えられた。彼女の名前は、アシュリー・へギ。Yahoo!の「ただいま急上昇検索中!」に登場した。
アシュリーさんが患っていたのはプロジェリアと呼ばれる病気である。遺伝子の異常により通常の10倍近いスピードで年老いていくとされ、患者数は世界で30人程度、平均寿命は13歳といわれている。アシュリーさんは17歳で、プロジェリア患者としては最高齢の患者と言われていた。日本でも何度かアシュリーさんの闘病生活を記録したドキュメンタリーが放送され、放送を通じてプロジェリアという難病の存在を知り、過酷な運命の中をひたむきに生きるアシュリーさんの姿に心を打たれた視聴者も多かった。
アシュリーさんは生前、「プロジェリアという病気をどう思っているかは、昔と変わってないわ。わたしがプロジェリアだということには、ちゃんとした理由があるの。神様が与えてくれたものだから、すてきなことなのよ。だから、わたしは大丈夫」と話していたという。
母親のロリーさんは、17歳の時にアシュリーさんを産んだ。奇しくもアシュリーさんは同じ17歳で、あまりにも早すぎる死を迎えた。「死ぬのは悲しいことだけど、必ず訪れるものだと思うの」・・・・・・全速力で人生を駆け抜けていったアシュリーさん、どうぞ天国で安らかにお眠りください。(編集担当:柳川俊之)
■見た目は問題のなさそうな突然変異によって極めて深刻な病気が起こる過程
やや意外なことだが、Natureに掲載された論文に記述されたHGPSの原因となる最も一般的な突然変異は、実は「サイレント」突然変異なのだ。その実態は、コドンに含まれる1つの塩基の置換で、このコドンによって定められたアミノ酸に変化は起こらず、よって、この遺伝子によってコードされたタンパク質には何らの変化も予想されない。当然のことながら、HGPSのような極めて深刻な症候群が起こるなんて決して予想できないのだ。
Collins博士の研究室に所属するポスドク・フェローで、Natureに掲載された論文(2 )の筆頭著者でもあるNHGRIのMaria Eriksson(2 )(Ph. D.)によれば、見た目は問題のない塩基の変異が、これほど深刻な疾患の原因となる可能性が示された当初、今回の研究に参加した研究者たちはすぐに信じることができなかったと言う。
しかし最終的には、この塩基の変異によって実際に「潜在的なスプライス部位」[リンクa
、リンクb
]が活性化する可能性が高い、と研究チームでは判断するに至った。このスプライス部位が活性化すると、ラミンAタンパク質をコードするメッセンジャーRNAに通常とは異なるスプライシングが起こり、150塩基の配列が欠失して、通常より短いタンパク質が産生されると考えられるのだ。この通常よりも短いタンパク質が、何らかの過程を経て、核膜の正常な機能に干渉することにより、HGPSを引き起こすのではないか、と研究チームでは考えている。ラミンAは、核膜で多タンパク質複合体を構成していることが知られており、通常よりも短いラミンAが、この複合体の機能に干渉し、あるいは機能を阻害する可能性があり、これがHGPSの原因となる可能性があることも研究チームによって指摘されている。
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