大丈夫か?高校新学習指導要領―英語授業はすべて英語で!?
昨年辺りから、次の学習指導要領に関する話がチラホラ聞こえています。
私自身は、現行課程の前の前の過程で学び、大学中退後再受験の際には次の過程に切り替わったばかりで、そのスタイルに合わせて勉強し直し、そして卒業後に教員になった年にちょうど今の過程になっていたという感じです。
このように、いつも10年も経たないうちに指導要領が変更され、そのたびに単元の順番が変わったり、ある分野が削除されて新たな分野が加わったり、変な科目が入ってきたり(理科総合Bとか)と、教える側もちろん、人によっては学ぶ側も混乱します。
そして昨夜、新指導要領がニュースでもやっていましたが・・・英語の授業をすべて英語で行うだと
こりゃあ、現場教員が不安がるのは当然でしょう。
>「まず教員が自ら積極的に用いる態度を見せるべきだ」
こんな事を言っているお偉いさんよー、あんたら何も分かっていないね!完全に他人事なんだよね。
どの教科も、ただでさえ授業準備等に時間をかなり費やします。特に英語・数学は、1クラスだけでもほぼ毎日行われますし、最近は「習熟度別」に分かれたりしている所もあり、先生方も負担が増えているというのに・・・
加えて専任は、授業以外の仕事がたくさんあるわけだし・・・
いくら「学校の英語の先生」だって、英語を母国語としているのではありません。一部を除いて外国語を万能に操れると思ったら大間違いなわけで、それを強要して、今以上に先生を苦しめるというのですか
それに生徒だって、説明などは日本語で少しでも多く教わった方が分かりやすいでしょう。余計に苦手意識を持たせてしまったり、間違って覚えてしまったりするかもしれません。発音などの違いを「音」で示して教えるのには、日本人には限界があると思います。「all English」の授業は、外国人講師による英会話に任せておけば良いのです。
少し前には「ゆとり」を目指させて、当事者達は学力低下を危惧していたらその通りになって、今度は慌てて内容を増やす。頻繁にコロコロ変えられて、学ぶ方も教える方も本当に迷惑だ!
文科省も、現場を知らないお役人ばかりが分かったような事を言っているからダメなのであって、教員経験者を登用しないとダメでしょう。でも「ヤンキー先生」とかは論外ですよ。
理科に関しては、中途半端で不要な「理科総合B」とかが廃止されるのは良かったけれど、教科書の順番がまたメチャクチャに入れ替えられていたら、嫌だなあ。。
高校新学習指導要領案:英語で授業…「自信ない」教諭も
「使えない英語」から「使える英語」へ。22日に公表された高校の新学習指導要領案は「英語の授業は英語で行うことを基本とする」と明記した。文法中心だった教育内容を見直し、英会話力などのアップを目指すのが狙い。文部科学省は「まず教員が自ら積極的に用いる態度を見せるべきだ」と説明する。だが教諭の英語力や生徒の理解度はばらつきが大きい上、大学入試は従来通りとみられ、現場からは効果を疑問視する声も出ている。【三木陽介、平川哲也、高橋咲子】
◇理解度に差、疑問の声
「文科省は現場を分かっていない」。千葉県の県立高の英語教諭は苦笑する。学校によっては、アルファベットのbとdが区別できない生徒もおり、「英語で授業なんて無理」。
大阪府の府立高の男性教諭も「苦手意識を持った生徒が、ますます英語から離れてしまう可能性がある」と危惧(きぐ)する。進学校でも「難関大学の長文問題は行間を読まないと分からない。結局、日本語で説明する必要があるので時間のロスになるかも」(福岡県の英語教諭)と困惑する。
どんな授業が想定されるのか。文科省は「授業を始めるよ」「○ページを開けて」「いい発音だね」といったやり取りは英語で、と説明するが、本格的に英語で授業をしようとすれば教員の英語力も問われる。千葉県の教諭は「それぐらいなら今もやっている」と話すが、別の英語教諭は「全部英語でやるのは正直自信がない。研修をさせられるんでしょうか」と不安げだ。
大学入試の変革を求める声も少なくない。群馬県の県立高の英語教諭は「リスニング(聞き取り)の問題の配点がもっと高くならない限り、現場には浸透しない」と言い切る。大学入試センター試験の英語の配点は、筆記200点に対し50点。この教諭は「進学校では生徒に最短コースを歩かせたいのが本音。今の入試がある限り、授業のやり方は変わらないと思う」と話す。
生徒からも「リスニング対策なら英会話のCDで十分。日本語で教えてくれた方が分かりやすい」(大阪府の高3男子)、「英語は楽しいので賛成だけど、受験のための授業とは別にしてほしい」(福岡市の高1女子)という要望が出ている。
文科省教育課程課は「今後、新要領に対応した入試のあり方は別途検討されていくことになると思う」と話している。
◇解説 思考力も知識も…現場混乱?
文部科学省が22日公表した高校の新学習指導要領案は、思考力や表現力の養成を重視したことに加え、過去の改定で削られた要素が復活するなど、教える内容のレベルも上がった。すべて消化することは容易ではない。
今回の改定には、経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学習到達度調査(PISA)の結果が大きく影響している。06年調査では数学的活用力が03年の6位から10位に後退。覚えた知識を取り出す力はあっても、セオリーに当てはまらないひねった問題は苦手という現実を突きつけられた。
だが、PISAを意識し、「思考力を育てる」と言っても、難易度は極めて高い。PISAで求められる学力観と、これまで取り組んできた学力観には大きな隔たりがある。大学受験という現実を前にして、現場からは「知識を根気よく積み重ねることもおろそかにはできない」という声も当然上がるだろう。
全体で見れば、覚えるべき事柄の量は従来とさほど変わらず、増えている部分もある。大学受験のあり方を具体的に見直す議論は行われていない。どう優先順位をつけて教えていけばよいのか、教員の戸惑いも広がりかねない。
新要領を絵に描いた餅にしないためには、文科省が目指す学力の質をさらに明確化するなどし、現場の十分な理解を得て進めることが必要だ。【加藤隆寛】