金八先生 放送終了

昨年10月から放送されていたドラマ「3年B組金八先生」が先日、最終回を迎えた。今回は第8シリーズだったという。
今シリーズは、過去のシリーズより内容が地味とか、他の高視聴率番組のバッティングなどの理由から、視聴率も悪かったようで・・・しかし個人的には、こちらの方が、より現実に近い感じがして好感が持てました。実際に見ていた人のブログを見ると「思わず泣いてしまった
」との声は多かったです。
私が幼児の頃に最初のシリーズが放送され、当時は物心ついていなかったものの、その後の再放送や(時々スペシャルもやっていた?)や、テーマ曲「贈る言葉」も小学校の歌集でもお馴染、卒業式の定番曲となっていたために、あまりに有名な存在となりました。
そのような中で、ちょうど中3(しかも私もB組)の時にシリーズで放送され、時には自分もそこの生徒になった気分になったりもしました。
当時は当然、生徒の側に立って見ており、自分も他の人達と同様「金八先生みたいな先生がいたらいいな」と思ってきました。
しかし年を経るごとに「あれはドラマの中の理想で、現実はそううまくはいかない」と感じて来ました。主演の武田鉄矢氏を他の番組で見るとかなり変な事を言っていたりと、金八先生のような教育的な人物を連想しているとがっかりするほどです(ご本人も、役柄のイメージが強くなりすぎて悩まれたとか)。
しかし、「ドラマだから通用する事」と割り切り、「武田さんはああいうキャラである」と承知して、それでもやはり見たい番組なのです。
大学入学までの紆余曲折期間は、テレビ番組の記憶はほとんどないのですが、大学~大学院時代は、「生徒の立場」と「教師の立場」の両方で見られた時期だと思います。
学生としてまだ教授方から教わる立場にある一方、家庭教師や塾講師を始め教える立場を経験するのですから。それに教職の授業も取りましたからね。
この時期に、「生徒の側」から「教師の側」に移行していくのだと思います。
この頃のシリーズは、上戸彩が性同一性障害の生徒を演じ、黒ずくめの服を着ていたのが最も印象に残っています。このドラマで存在を知った彼女でしたが、その後のブレークはご存じの通り。
大学院を修了し、図らずも学校講師を始め、その1年目(3年度前)が前シリーズ。ただ、自身も初年度でただ夢中にやってきたし、高校生のみ担当だったし、ドラマの方も、覚せい剤中毒となった生徒の登場などあまりに衝撃的な場面だけが記憶に残っています。全体的に暗めの内容で、演出も過剰だった気がして、あまり好きにはなれませんでした。
しかし考えてみると、子供の頃は、金八先生の熱血かつ温かみのある指導ぶりばかりが目につきましたが、改めて内容を振り返ると、初回は妊娠する生徒が出たし、その後も暴力やイジメ、そして上述の通り麻薬など、過激な生徒達が多かったと感じます。
そう考えると今回は、より身近な問題を扱っていたと思います。自身も教師生活4年目、あれから専任教諭や講師でもフルに(常勤に近い拘束で)勤め、生徒達や同僚の先生方との触れ合いの中で、色々思う事がありました。
実は私、唯一「中3」という学年だけ授業を経験した事がないのですそれでも、中学生や高1あたりと接してきた中で、最近の生徒はあのような感じですし、元教え子で現中3もいるし、そういう点からもより身近に感じられたのかもしれません。
そうした経験をしてきた立場から、今回は本当に「教師の立場」から、これまでのシリーズの中で最も丁寧に見たと思います。忙しさで見忘れたり、放送時間までに帰宅出来ずに見そびれた回も何度かありましたが、最後の方は夜も用事が入りビデオ録画をしてまで見ましたよ(^o^)
今シリーズの感想は次回に書くとして、ただ一方で、実際に学校に勤めると、どうしてもツッコミたくなる所もありまして・・・
まず、金八先生はご自身が受け持つクラス(3B)の担任として(ホームルーム・授業・校外での生徒や保護者の手助け)しか、教師としての仕事が見えてこない。
専任教諭の場合は、担任を持つ人はその業務が大変ですが、それに加え(担任を持たない教師も行うのは)、他クラスや他学年の授業・部活の顧問・公務(学校内の仕事)や雑用など、やる事はたくさんあります。自分も専任時代は(新人で担任は持っていませんでしたが)、これらの仕事で帰宅は夜中ばかりでした。
つまり、金八先生は専任にしては仕事が少ないなと(だから、生徒達の家庭の事情にも介入出来るのではと)。
そして、生徒達ですが、色々あれど最後にはクラス全体がまとまり、全員が金八先生の事を好いている。
しかし実際の生徒は、もちろん良い子もたくさんいる反面、心ないのもいます。私達の生徒時代には考えられないような子供はいますから。そういう奴ら(男女共に)の態度や暴言に何度傷つき腹が立った事か!
それに、いくら人気のある先生でも、100%の生徒に好かれる事はあり得ず、アンチがいるのは仕方のない事でしょう。
若い人(特に中高生らしき)のブログを見ると、よく「金八先生みたいな先生がいれば・・・今の教師にロクなのはいない」みたいに書かれていますが(私もそれは生徒時代に思った)、
教師の側からすれば「あのように生徒全員が、最終的に教師の言う事を聞いてくれればいいのにな」と思ったりもしました(苦笑)
しかし、何だかんだ言いながらも30年近くにわたってシリーズ化され、ああいう「熱血教師」はやや時代遅れの感があるとはいえ、各時代の若者、そして各世代の人々の心をとらえているのですから、金八先生は多くの人々の「理想の教師」なのかもしれません。いや、生徒その他も含め「教育の理想郷」なのでしょう。「ドラマだから通じる事」とは分かっていても。
近年は2~4年くらいに1回の間隔で放送されていますから、次シリーズでは先生もそろそろ「定年」が囁かれそうです。その頃には、自分はどのような立場で見ているのでしょうか?希望が叶えば他の業界に転身なのですが(出来ているといいな)、学校から離れた立場で見られたら、また面白いかもしれません。
途中、原作者とテレビ側が揉め、それ以降の制作が危うくなった時期もありましたが、和解したと聞いた時には、ほっとしたのを覚えています。
やはり、金八先生にも定年は来るのでしょうね?それまで見守りたいものであります。
「守って欲しいヒーロー」というより(かつては守ってもらいたかったかも)、「皆で守りたいヒーロー(?)」という感じでしょうか(笑)
金八先生に関して面白い考察が書かれたブログ記事を見付けたので、紹介します。