突発性難聴と再生医療 | 非常勤講師はつらいよ―私学非正規教員の本音と生活向上作戦

突発性難聴と再生医療

 自分が勤務経験ある学校で、騒がしい学年を担当されていたところ、かかってしまわれた先生がいらっしゃいます。プライバシーもありますので、あまり詳しい事は書けないのですが・・・

原因はっきりしていないようですが、「過労やストレス」とも言われているようです。

他の勤務経験校でも、騒がしく態度の悪い生徒達を受け持っていた先生は、耳鳴りなどに悩み、ある病名を診断されました。

このように、特に問題ある生徒達の相手は、教師の健康をも損ねてしまいます(大変な生徒でなくても、上からこき使われて倒れたりする教師達を何人も見てきましたが・・・)。


 話を「突発性難聴」に戻すと、最近は、歌手の浜崎あゆみが患った事でも話題になりました。

そのような中、聴覚細胞の再生による治療を始めた教授がおられるとの事。このグループも、京大ですか!


あゆにも朗報?突発性難聴で細胞再生の世界初の治療

 突然耳が聞こえにくくなる突発性難聴に対し、聴覚細胞を再生する世界初の治療を、京都大病院耳鼻咽喉(いんこう)科の伊藤壽一教授らのグループが始めた。


 従来のステロイドの大量投与に代わる、安全で効果が高い治療法として期待される。

 突発性難聴のはっきりとした原因はわかっていない。歌手の浜崎あゆみさんが今年1月、突発性難聴で左耳が聞こえなくなったことを告白した。

 治療は、聴覚細胞が集まる内耳の蝸牛(かぎゅう)の膜に、細胞の成長にかかわるたんぱく質「IGF―1」を含ませたゼリー状のゲルを塗る。約2週間かけて吸収され、傷ついた聴覚細胞の死滅を防ぎ、再生させる。発症後1か月未満で、ステロイド治療で効果が出ていない20人程度に実施する予定。

 厚生労働省の2001年の調査では、突発性難聴の推定患者は約3万5000人。国の特定疾患(難病)に指定され、完治は全体の3分の1程度とされる。従来、ステロイドの大量投与による治療が行われているが、副作用に苦しむケースが多い。

(2008年2月7日14時49分 読売新聞)



最近は、万能細胞を含め再生医学に関する話題が多いですね。今、この分野の研究は急速に進歩しているのだと思います。

本当は、私もこういう研究に興味があったのですが・・・

そうした関連記事も紹介しておきます。



ES細胞:献血、不用に? 赤血球になる細胞株作成--マウス実験、理研チームが成功

 あらゆる臓器や組織に育つ能力を持つマウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、赤血球のもとになる細胞株を作ることに、理化学研究所の研究チームが成功した。細胞株は試験管内で長期間増殖させることができ、赤血球を効率よく大量に作ることが可能。チームは近く、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った研究を始める予定で、成功すれば、献血に頼らず、感染症の心配のない輸血が実現する。6日付の米科学誌に発表した。

 骨髄液やへその緒の血液に含まれる血液幹細胞から赤血球を作った例はあるが、効率の悪さが実用化への課題になっていた。

 理研バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の中村幸夫・細胞材料開発室長(血液学)らは、8種類のマウスES細胞と、細胞増殖作用などがある6種類のたんぱく質を使って実験した。組み合わせを変えながら63回試み、三つの組み合わせで赤血球のもとになる赤血球前駆細胞株を作ることに成功した。この株を貧血のマウスに注射すると、マウスの体内で赤血球が増加し、症状を改善できることを確認した。がん化などの問題も起きていないという。中村室長は「一日も早い臨床応用を目指したい」と話している。【西川拓】




ES細胞:網膜細胞作成に高効率で成功--理研

 あらゆる細胞になる能力を持つヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、目の網膜細胞を高い効率で作り出すことに、理化学研究所などのグループが成功した。病気で失われた網膜細胞を体外で再生させて移植する再生医療の実現に、大きく近づく成果。今後は、できた細胞の機能を調べるとともに、京都大で開発され、拒絶反応の問題を回避できる「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」での応用を試みるという。

 3日付の米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」(電子版)に掲載される。

 光を感知する視細胞や、網膜に栄養を与える網膜色素上皮細胞が、20~30%の効率で作れた。マウスで05年に成功した際は未知の成分を含む牛の血清などを使ったが、今回は安全性に問題のない2~4種類の物質で成功させた。ヒトのES細胞の例は海外でわずかに報告されているが、数%の効率だった。

 日本に約3万人の患者がいる網膜色素変性症や、欧米で高齢者の失明原因の1位の加齢黄斑変性症は、視細胞が徐々に失われる病気で、有効な治療法はほとんど確立されていないという。

 理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターは「ES細胞と性質が同じiPS細胞に応用できるので、国内の研究機関に積極的に技術移転したい」と話している。【根本毅】

毎日新聞 2008年2月4日 東京朝刊



脱毛・薄毛に一筋の光明…「真皮」再生医療を承認

01/31 21:26更新

■国循センターと神戸大、世界初の試み

 国立循環器病センターの倫理委員会は31日、手術で余った人間の頭皮に高い圧力をかけて、細胞を取り除いた真皮を作製する研究を承認した。申請した山岡哲二生体工学部長らのグループは、将来的に脱毛・薄毛で悩む人にこの真皮を移植し、毛乳頭細胞を注射して毛をはやす再生医療 に発展させる計画で、世界でも初の試みという。

 研究は、神戸大学付属病院と協力、頭の手術の際に余った、人の頭皮を利用する。この頭皮に水中で約1万気圧をかけて細胞を破壊し、コラーゲンやエラスチンなどタンパク質だけのスポンジ状にする。大きさは1センチ四方。
 将来的には、この真皮に表皮となる毛包細胞を移植して皮膚状にした上で移植、毛髪の形成を促す毛乳頭細胞を注射する。毛包、毛乳頭細胞は本人のものを培養するため、この細胞が機能する限り、毛が生え続けると予想される。
 脱毛症の人の多くは頭皮が薄くなり、毛穴が変形するなど毛髪が生えにくくなっていることが多く、毛乳頭細胞を直接注射しても、正常な育成は難しかった。今回のケースでは、自分の細胞を使うため拒絶反応も抑えられるという。

 神大病院の寺師浩人形成外科准教授は「できるだけ早く臨床実験し、本当に毛が生えてくるのか確認したい」と話している。