理科の選択―進路に悩む高校生へ その2
複数の生徒から理科の選択について質問があるので、これまで(過去の勤務校も含め)受けたものについて少しまとめようと思います。
(1)理系
①理工学部系
迷う事ないでしょう(物理・化学)。
ただし、難関校でなければ理科1科目の大学もあり、自分の専門に近いものを選ぶ事になるでしょう。
②薬学部
基本的に化学必修ですが、大学によっては生物なども可能だったり、
国公立等の場合はもう1科目必要な場合もありますね。
③医学部、超難関国立大の生物・生命科学系学科
大抵は「物理・化学・生物・から2科目選択」となっており、
いくつかの地方国立医学部では「物理・化学指定」の所もある。
生物屋としては、こういう学部を目指すなら生物はぜひ履修してもらいたいのですが、
私立の医学部に行く事が金銭的に不可能な場合(国公立のみ)、私立は他学部を併願する事になり、
そうすると生物で受験出来る大学(特に難関校)が限られてしまいます。
そのようなわけで、私自身も予備校時代の仲間達も、悲劇に遭ってきました。(>_<)
そう考えると、物理・化学にした方が選択の幅は広がりますが、
最近は生命理工系で生物も選択出来るようになった学科も増えてきましたし(早稲田も。羨ましい。。)、
やはり得意科目を選んだ方が高成績につながりますから、
最終的には、志望大・学部で選択出来る範囲で得意な方を履修するのが良いと思います。
あと近年、医学部で3科目(物化生すべて)必須の大学も出てきました。
その場合、高校が2科目までしか選択出来ないなら、ある程度は自習の利く生物は後回しにして、
物理・化学を選んだ方が良いかもしれませんね。
ちなみに私の高校時代は、高2まで生物・化学・物理は必修とはいえ、
それらの教科書を途中までで高3となりました。
しかし、あのバカ学校は、高3で理科1科目しか取れなかったため、
担任(生物教師)に勧められて生物を選択したら化学が取れず、卒業後ホント苦労しました・・・(泣)
なので、後輩には化学を勧めたのでした。
④その他の医療系学部、農学部等
近年、看護・医療系などのニーズが高まってきており、理系女子生徒が志望するケースが多いです。
②とも被りますが、最近ようやくバイオ系への注目があつまり、そうした学科への選択の幅も広まっています。
普通は「物理・化学・生物・から1科目選択」でしょう。この場合も得意な科目を選べば良いでしょうが、
女子では物理が苦手な人が多いので、物理を選ぶ人は少ないですね。
こんな事を言うのもなんですが経験上、女子校の物理教師って・・・(以下略)
私もまず、物理を捨てました(^o^;)
その学校の先生の状況で決断するのもアリかもしれません(苦笑)
(2)文系
センター試験を受験予定の場合「生物と化学のどちらが簡単か?」と結構聞かれます。
自分が受験生の頃の感覚では、化学の方が問題が素直で点を取りやすかったのですが、
文系の人が学ぶ場合、計算なども必要な化学に比べ、
初歩段階は暗記で何とかなる生物の方がやり易いのかな、と思ったりもします。
ただ、生物は実験考察問題もありますし、こちらも遺伝などの計算問題もありますし・・・
実は、教育課程が新しくなるにつれて、センター試験の出題範囲が狭まっているため、
先日、最近のセンター試験に目を通したところ、現行課程になって若干易しくなったかなとも感じます。
その代わり、より内容を突っ込んで聞かれる事もありますが。
(新課程では、今度が3年目の受験を迎えます。)
なので、現段階で自分がやりやすい(より得意な)科目を選んでみてはいかがでしょう?
取り急ぎ、今回は選択に関して書きましたが、機会を見付けて教科書に関しても少し述べたいと思います。