15年前、母を自死で亡くした。

 

3月の雪が降る、寒い夜に。

 

僕を養子として迎えてくれ、本当の息子のように

 

僕に「家族」というモノを教えてくれた人

 

母親の「愛」を与えてくれた人

 

それから、毎年母の命日には少し元気を無くし

 

墓前に花を添えに行っていた。

 

時々、夢に母が出てきて、起きたら何故か泣いている

 

そんな日々が続いた。

 

その後、僕自身が家庭を作った。

 

自信はなかったし、本当に大丈夫かと思っていたが

 

妻が母と同じ季節に亡くなった。

 

僕の心はその日、一度死んでしまったんじゃないかと思う。

 

生きた屍みたいな日々を送る中で、こんな世界に希望などない

 

そう思うようになっていた。

 

夢にはなくなった妻が出てきて、僕に

 

「前へ進め」

 

と背中を押す。

 

そして、そんな僕を救ってくれた人と一緒に生活している。

 

僕の心は生き返った。

 

その代償なのか、夢の中の母や、妻の顔がぼやけて見えた。

 

あんなに愛していたのに、あんなに辛かったのに

 

いつの間にか、その悲しみも薄らいで

 

忘れていることさえ、気づかなかった。

 

僕は冷徹な人間だ