「絶望」

 

割とよく耳にする言葉だ

 

例えば、財布を落とした

 

スマホを無くした

 

恋人に振られた・・・など

 

人はよく絶望という言葉を口にする

 

その中で本当の絶望を経験したことがある人は

 

どのくらいいるのだろうか?

 

震えるほどの屈辱、味わったことのない痛み

 

感じたことのない苦しみ

 

目の前にあったはずの未来が突然無くなる

 

そのすべての要素が一気に襲いかかってきた時

 

本当の絶望というものを知る事になる

 

僕は以前、それを経験した。

 

それから随分、月日が経ち

 

こうして言葉に出来るようになったが

 

本当の絶望から襲われた時、人は無力だ。

 

僕の場合、突然の妻の死だった。

 

母が亡くなった時は、周りに仲間がいてくれて

 

どうにか持ちこたえることが出来た

 

しかし、妻が亡くなった時、僕は生まれ育った街から

 

離れた街で生活していて

 

僕の味方になってくれる人など1人もいなかった

 

その頃の記憶はとても曖昧で

 

当時の僕を見た人から得た情報から記憶を辿るしかなかったが

 

記憶も、思い出も、未来も、全てが無くなり

 

自分が何をしているのか、どうしたいのかなど

 

考えることが出来なることだと、振り返ってみると

 

本当の絶望とはあのような状態のことなんだと思う。

 

様々な人の助けのおかげで現在の自分がある。

 

今、僕はあの頃の自分では想像も出来なかった生活をしている

 

それでも、今でも睡眠薬を飲まなければ眠れないし

 

心が随分弱くなり、臆病になり、眠ればいつも

 

悪夢を見る。

 

少しでもストレスを感じると、食欲もなくなり

 

何を食べても、血の味しかしない

 

医者に相談するとそれは、絶望を味わった時の

 

後遺症との事だった

 

記憶が無くならない限り、僕はその後遺症と

 

一生付き合っていかなければならないし

 

得体の知れない不安感でパニックになってしまうこともある

 

良くも悪くも、亡くなった妻は

 

僕の世界を変えてしまった

 

大切な人を自死や事故で突然亡くしてしまった人は

 

年間4万人もいるらしい

 

でも、その人たちはそれぞれ自分の気持ちに

 

区切りをつけて、前に進んでいると思う

 

それが、故人の望みなのだと信じて・・・

 

そして僕も・・and yet There will still be love in this world

 

それが亡き妻の望みなのだと信じて