[イエス・キリストの名によって祈ること、イエス・キリストの名によって悪霊を追い出すこと]
そもそも、神の名は、みだりに唱えてはいけないものだった。
あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。主は、御名をみだりに唱える者を、罰せずにはおかない。
出エジプト20:7
旧約聖書ヘブライ語原典で、神の名として記されている4文字テトラグラマトン、"YHWH"。
https://biblehub.com/hebrew/3068.htm
日本語の聖書で「主」と訳されている部分。
当時のユダヤ人は、"YHWH"が畏れ多い御名なので、音に出して読むことをせず、代わりに「アドナイ」という言葉を当てて読んだ。
Wikipediaのテトラグラマトンの項によると、
https://en.wikipedia.org/wiki/Tetragrammaton
神聖な神の名、みだりに口にしてはならない神の名、ヘブライ文字4文字
יהוה
は、発音するための母音を含まない子音。
ユダヤ人はここを朗読するために、神の固有名詞を避け、アドナイとふりがなを付けて読んだ。
ヤーウェ(Yahweh)、エホバ・ジェホバ(Jehovah)は後代の学者がテトラグラマトン"YHWH"を発音できるように母音を補った呼び名であり、旧約の民ユダヤ人がそのように読んでいた訳ではない。
彼らは"YHWH"の御名を母音を添えて読んだり、ふりがなを添えて書くことを避けて、アドナイと読んでいた。
ヘブライ語アドナイは「私の主人」という意味。新約聖書のギリシャ語では「キュリオス」。
ローマ10:9のギリシャ語。
https://biblehub.com/text/romans/10-9.htm
英語ではロード(Lord)。日本語では「主」。この「主」は畏れ多い御名"YHWH"を口にしてはならない十戒が元になっている、神様の別の呼び名ということ。
ユダヤ人たちは、特別な場合を除いて、神の名"YHWH"を口にすることは許されなかった。
そこへ、神のひとり子イエスが登場して、「私の名によって父に求めなさい」と教えた。
ヨハネ14章、15章、16章
この時、恐れ多い神"YHWH"は「父」になった。
ユダヤ人にとっては、天地がひっくり返る出来事。
目の前にいるイエスが"YHWH"の子供であるとは、ほとんどのユダヤ人は信じられなかった。そのため大祭司らは、イエスを、神を冒涜する者として十字架につけた。
ペテロは次のように告白した。
あなたは、生ける神の御子キリストです。
マタ16:16b
ユダヤ人ペテロはイエスがYHWHの子だと告白した。
「イエス」のヘブライ語短縮表記がYeshua。元々の表記は
Yehoshua。
The name Yehoshua has the form of a compound of "Yeho-" and "shua":
https://en.wikipedia.org/wiki/Yeshua
Yehoshua
には、
YHWH
と
a cry for help(助けを求める叫び)
の2つの意味が含まれている。
「私の名によって求めなさい」
主イエスの「私の名によって父に求めなさい」(ヨハネ14章、15章、16章)という教えは、「イエス」の元々の名前Yehoshuaが「YHWHに助けを求める」という意味を持っていることを下敷きにしている。
「イエス」という名を口にするとき、「YHWH、父よ、お助け下さい」と言っていることになる。
ピリピ2章のパウロの以下の記述も、
それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。
それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、
すべての口が、「イエス・キリストは主である」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。
「YHWH、父よ、お助け下さい」という意味を持っているYehoshuaという名、イエスの名が理解できると、すんなりわかる。ヘブライ語が母語のパウロの念頭にあったはず。